2026-03-14 コメント投稿する ▼
過去最大規模の予算案、衆院を通過
この予算案は、今後、参議院で審議されることになりますが、その過程では、審議時間の短縮や、国会審議のあり方を巡り、与野党間の激しい応酬が繰り広げられました。
異例ずくめの審議、野党は「議論の機会奪われた」と批判
この日の衆議院本会議では、午後9時25分ごろ、予算案が賛成350票、反対109票という賛成多数で可決されました。しかし、この結果に至るまでの衆議院予算委員会の審議は、極めて異例な展開となりました。本来であれば、各分野の専門家が集まる分科会での詳細な審議を経て本会議での討論や採決に進むのが一般的ですが、今回は37年ぶりに分科会が開催されませんでした。
さらに、審議時間も大幅に圧縮されました。中道改革連合の議員らは、予算委員長が職権で委員会採決を強行したことに強く反発。「国会は政府の下請け機関では断じてない。先例が踏みにじられ、多くの議員が議論の機会を奪われた。議会人としての誇りをもって強く抗議する」と、坂本哲志予算委員長(自民党)の進め方を糾弾しました。
「タイパ重視」と野党、高市内閣の姿勢を問う
野党側は、政府・与党による審議時間の圧縮について、高市早苗内閣の政治姿勢に問題があると指摘しています。中道改革連合の長妻昭議員は、党の会合で「高市早苗内閣は、タイパ(タイムパフォーマンス)重視の発想が色濃くある」と厳しく批判しました。
長妻議員は、「手順を追った議論によって、間違いや問題点が今まで分からなかったことが明らかになって改善される。そのプロセスを軽視して、タイパ重視で行く。その究極は独裁だ」と述べ、丁寧な国会審議のプロセスを省略し、効率ばかりを優先する姿勢は、民主主義の根幹を揺るがしかねないとの危機感を示しました。
また、共産党の辰巳孝太郎議員は、12日の予算委員会での質問中に、与党席から「スパイ」というヤジがあったことを明らかにし、「意見や政策の違う委員や政党を、スパイ呼ばわりするのは絶対に看過できない」と、発言者からの謝罪と撤回を求めました。これに対し、坂本予算委員長は、音声を検証した上で理事会で協議すると応じましたが、国会審議の場における発言の品位を巡っても、波紋が広がりました。
国際情勢緊迫化の中、審議の「質」巡り攻防
予算審議の最中には、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃という、緊迫した国際情勢が発生しました。この事態を受け、政府・与党は、審議時間の短縮を正当化する論拠の一つとしました。自民党の藤原崇議員は、衆議院本会議での討論において、「国会審議も重要だが、在留邦人の保護、情報収集、関係国との緊密な連携の対応も同じように重要だ」と述べ、「外形的な審議時間ではなく、審議の内容を踏まえた坂本予算委員長の判断は、的確な判断だ」と、審議時間短縮を擁護しました。
しかし、野党側は、この国際情勢への対応を巡っても、政府の姿勢を厳しく追及しました。中道改革連合の長妻昭議員は、米国によるイラン攻撃が国際法に合致しているか不明な「中ぶらりん」の状態であるにもかかわらず、日本が米国に金銭的な支援などを行う可能性について質問しました。
これに対し、高市早苗首相は「法的な評価は差し控えている」と明言を避けつつ、「政府としては日本国民の命を守り、日本の国益を守るということで独自に判断する。法律にのっとって出来ることをする。他国の支援をする、しないということではなく、まずは国民の命を守る」と答弁しました。また、金銭的な支援を米国側から求められている事実は現時点ではないとも述べました。小泉進次郎防衛相も、制度上は海上警備行動による護衛は可能であるとの認識を示しました。
中道改革連合は、ガソリンなどの燃油や生産資材の価格高騰に対応するため、1兆6千億円規模の予算措置を講じるよう求める予算案の組み替え動議を提出しましたが、これも否決されました。
今回の予算案通過は、過去最大規模の財政支出を伴う重要な決定です。しかし、その審議過程においては、審議時間の短縮、野党の意見表明の機会の制限、そして緊迫する国際情勢への対応など、多くの課題が浮き彫りとなりました。今後の国会運営や、高市政権のあり方にも影響を与える可能性があります。