2026-03-13 コメント投稿する ▼
日米が南鳥島レアアース共同開発を確認へ、19日首脳会談で中国依存脱却目指す
日米両政府は2026年3月13日、高市早苗首相が19日に米ワシントンで予定するトランプ米大統領との首脳会談で、南鳥島沖の海底で確認されたレアアース共同開発を確認する調整に入りました。 海洋研究開発機構は2026年2月2日、地球深部探査船「ちきゅう」が南鳥島沖の水深約5600メートルの海底から、レアアースを含んだ泥の採取に成功したと発表しました。
南鳥島沖の深海底には、レアアースでも特に重要なジスプロシウムなど「重希土類」が多く存在します。2026年2月の探査船による掘削でレアアースを含む泥の採取に成功していました。
水深5600メートルから採取成功
海洋研究開発機構は2026年2月2日、地球深部探査船「ちきゅう」が南鳥島沖の水深約5600メートルの海底から、レアアースを含んだ泥の採取に成功したと発表しました。南鳥島は東京都心から南東へ約1900キロ、日本の排他的経済水域内に位置する小さな環礁で、その沖合の深海底には世界有数のレアアース資源が眠っています。
高市首相は発表を受けて「国産レアアース産業化への第一歩」と強調し、2026年3月に予定されるトランプ大統領との会談で米国の参画を要請する意向を示していました。2025年10月、高市首相とトランプ大統領は「採掘・加工を通じた重要鉱物・レアアースの供給確保のための日米枠組み」と題した文書を交わしており、南鳥島沖での採掘プロジェクトも協力事項に位置づける考えです。
南鳥島周辺だけでも、レアアースの埋蔵量は世界3位の規模の1600万トンがあるとされています。およそ100平方キロメートルの有望エリアだけでも、日本の年間需要の数十年から数百年分に達する莫大な資源ポテンシャルを持つことがわかっています。
この南鳥島で見つかったレアアース泥は、中国の陸上鉱山の20倍の品位を持つ、世界最高品位の「超高濃度レアアース泥」です。2013年には7000ppmを超える極めて高品位の泥も発見されていました。
「中国依存から脱却できるなら、国産化を進めるべきだ」
「水深5600メートルとか、技術的に本当に可能なのか?」
「日米共同開発なら、資金面でも助かるかもしれない」
「でも採算が取れるまでに何十年もかかりそう」
「中国の輸出規制が厳しくなる中、選択肢を増やすのは重要だ」
中国への依存脱却が急務
日本がレアアース開発を急ぐ背景には、中国による経済的威圧があります。中国は世界のレアアース生産量の7割を占め、日本は2024年時点で63%を中国から調達していました。さらに精製や磁石製造では9割超を中国が握っています。
2025年11月、高市首相が国会で台湾有事で存立危機事態になりうると答弁したことをきっかけに、中国はレアアース関連製品の対日輸出を制限しました。日本の産業界には再び供給不安が広がり、自動車、ドローン、レーダー、ミサイルといった先端・防衛分野に不可欠な鉱物を安定確保できるかは、国家安全保障に直結する問題となっています。
レアアースはスマートフォンやパソコンの小型軽量化、テレビの省エネ化などに役立つ原料で、17元素の総称です。地球温暖化が急速に進行する中、自動車のEV化や風力発電の普及が加速していますが、これらに必要な高機能磁石の需要が急増し、その製造に欠かせないレアアース、特にネオジムやジスプロシウムなどの重要性が増しているのです。
南鳥島のレアアース泥は「重希土類」の含有率が極めて高く、これが最大の強みです。レアアースと一括りにされますが、その価値は「軽希土類」と「重希土類」で天と地ほどの差があります。中国が圧倒的なシェアを握り、世界が喉から手が出るほど欲しているのは、EVのモーターや防衛産業に欠かせない「ジスプロシウム」や「テルビウム」といった重希土類なのです。
2026年1月から試掘、2028年度に経済性評価
日本政府は南鳥島でのレアアース開発を着実に進めています。2026年1月から地球深部探査船「ちきゅう」の船上から揚泥管と接続した採鉱機を降下させ、船上への揚泥を確認する接続・採鉱試験を実施する予定です。
2027年1月には、1日当たり約350トンの採鉱・揚泥試験を行い、陸上に輸送後、分離・精製する計画です。政府は2028年3月までに経済性評価を行う予定で、2028年度以降の商業生産を目指しています。
内閣府のSIP第3期「海洋安全保障プラットフォームの構築」では、探査・採鉱・分離精製・生産システムの4つのテーマで研究開発を行っています。水深約6000メートルの深海は高い圧力や低温の環境下にあるため、レアアース泥の採鉱に使用する機器や海中ロボットには高い耐久性と機能性が求められます。
欧州で軽量の特製パイプを製作し、パイプ重量を軽減するための浮力体をオーストラリアで製作。そして日本で設計し、シンガポールで製作したレアアース泥を採取するための解泥・採鉱機。その解泥・採鉱機を6000メートルの深海で操作するために、ノルウェーで製作している遠隔無人潜水機などの特殊機能を備えた機器類を、「ちきゅう」に装備し、深海環境に大きな影響を与えない閉鎖循環系の採鉱システムを確立すべく準備を進めています。
日米共同開発の戦略的意義
高市首相がトランプ大統領に南鳥島の日米共同開発を提案した背景には、中国への抑止力強化という戦略的意図があります。南鳥島周辺の海域は日本の排他的経済水域ですが、中国もEEZ外で年内にも探査活動を始める見通しです。こうした中、日本の単独開発では中国からの牽制も強いでしょう。
米国との連携を打ち出すことで、中国に対する抑止力になります。日米関係筋によれば、海底からの採掘や加工の技術は日本に優位性があるとして、米国への資金面での協力を要請する形を想定しています。双方が資金を出し、日本側が採掘や加工を担う案が浮上しています。
トランプ大統領は日米首脳会談の前に、オーストラリアやタイ、マレーシアとレアアース協力の覚書を交わし、供給網を強化しようとしていました。日本とも80兆円の対米投資枠とは別に、レアアース分野での協力に合意しています。これは中国のレアアース規制という脅しに対して、「米国の立場が弱くない」と示す狙いがあります。
中国がレアアースを経済的威圧の手段として使う中、日米両国は供給網の多角化を急いでいます。南鳥島沖での開発事業を皮切りに、協力を拡大させる方針です。資源開発で連携強化を図り、輸出制限など経済的威圧を強める中国からの依存脱却を進める考えです。
イラン非難も伝達へ
また中東情勢が悪化する中、高市首相は会談でホルムズ海峡の事実上の封鎖などを巡り、イランを非難する考えをトランプ氏に伝える見通しです。イランは原油輸送の要衝となっている同海峡の封鎖を継続するとしており、政府内にはイランへの非難をさらに強めるべきだとの声もあります。
高市首相は就任後初めて訪米し、日米同盟の抑止力強化を確認します。中国に対する認識のすりあわせも目指します。レアアース共同開発、イラン情勢、中国への対応など、多岐にわたる議題が予定される重要な首脳会談となります。