2026-02-28 コメント投稿する ▼
欧州をめぐる日中の「外交綱引き」:高市政権が直面するトランプ旋風と中国の影
欧州の首脳たちが相次いで中国を訪問する「中国詣で」が活発化しており、日本の外交戦略も大きな転換点を迎えています。 また、フランスのマクロン大統領とも、安全保障分野での連携を深めるための調整を急いでおり、日本は欧州が中国に深入りしすぎないよう、具体的なメリットを提示し続けています。
現在、日本と中国の間で、イギリス、フランス、ドイツといった欧州の主要国を自陣営に引き込もうとする激しい「外交綱引き」が繰り広げられています。
欧州の首脳たちが相次いで中国を訪問する「中国詣で」が活発化しており、日本の外交戦略も大きな転換点を迎えています。
高市早苗政権は、この難しい局面をどう乗り越えようとしているのでしょうか。
トランプ氏の「欧州軽視」が招いた地殻変動
欧州諸国が中国に急接近している最大の要因は、アメリカのトランプ大統領による外交方針の変化にあります。
トランプ氏は、西半球の利益を最優先する「ドンロー主義」を掲げ、伝統的な同盟国である欧州を軽視する姿勢を鮮明にしています。
特に、デンマークの自治領であるグリーンランドの領有権を主張するなど、欧州諸国の主権を軽んじるような言動が、欧州側に強い不信感を与えました。
「アメリカはもはや頼りにならない」という不安が広がる中で、欧州は新たな経済的・政治的なパートナーとして中国を意識せざるを得なくなっています。
相次ぐ欧州首脳の「中国詣で」とその狙い
こうした背景から、欧州主要国の首脳による訪中が相次いでいます。
2025年12月にはフランスのマクロン大統領が訪中し、習近平国家主席から異例の厚遇を受けました。
さらに2026年に入ると、1月にはイギリスのスターマー首相、2月にはドイツのメルツ首相が立て続けに北京を訪れました。
中国側の狙いは、欧州を取り込むことで、悪化する日中関係において自国の立場に理解を求めることにあります。
習近平氏は、欧州首脳との会談を通じて、国際社会における日本の立場を相対的に弱めようとする思惑を透かせています。
経済と安全保障のジレンマに揺れる欧州
しかし、欧州諸国も手放しで中国を信頼しているわけではありません。
彼らにとって中国は巨大な市場であり、ビジネスチャンスの宝庫ですが、同時に安全保障上の大きな懸念材料でもあります。
日本の外務省幹部が「欧州と中国の関係はビジネスだが、日本と欧州は安全保障も経済安保も質が深い」と語るように、日本と欧州の間には長年築き上げた民主主義の価値観という強い絆があります。
欧州は、アメリカへの不信感と、中国への経済的期待、そして日本との安全保障上の連携という、非常に複雑な板挟みの状態に置かれているのです。
高市政権の対抗策:経済安保での「深い絆」
高市首相はこの危機に対し、具体的な「経済安全保障」の強化で対抗しています。
例えば、訪中を終えたばかりのイギリスのスターマー首相を日本に招き、首脳会談を行いました。
そこでは、中国によるレアアース(希土類)の輸出規制を念頭に、重要鉱物のサプライチェーン(供給網)を共同で強化することを確認しました。
これは、経済的な弱みを中国に握られないための極めて重要な戦略です。
また、フランスのマクロン大統領とも、安全保障分野での連携を深めるための調整を急いでおり、日本は欧州が中国に深入りしすぎないよう、具体的なメリットを提示し続けています。
問われる日本の外交力と今後の展望
今後の最大の焦点は、2026年6月にフランスで開催されるG7サミット(エビアン・サミット)です。
マクロン大統領は、このサミットに習近平氏を招待するという構想を持っているとされており、日本政府はすでに強い懸念を伝えています。
高市首相には、欧州の首脳たちに対し、中国の安全保障上の脅威を改めて認識させ、G7の足並みを揃えさせる高度な外交手腕が求められます。
「ビジネスの中国」か「価値観の日本」か。
トランプ旋風という不確定要素の中で、欧州をめぐる日中の攻防は、まさに日本の外交力が試される正念場と言えるでしょう。