2026-02-17 コメント投稿する ▼
高市政権がタリバン支配アフガンに9.8億円支援もど女性抑圧政権への協力に疑問の声
2026年2月10日、高市早苗政権は、イスラム主義勢力タリバンが実効支配するアフガニスタンにおける予防接種を支援するため、国際連合児童基金に9億8000万円の無償資金協力を実施することを決定しました。
2026年2月10日、アフガニスタンの首都カブールにおいて、正本謙一在アフガニスタン日本国大使館大使とアンドレア・ジェームス国際連合児童基金アフガニスタン事務所代表代行との間で、供与額9億8000万円の無償資金協力「ポリオ撲滅計画(UNICEF連携)」に関する書簡の署名・交換が行われました。
この協力は、アフガニスタン全土において、定期的な予防接種を実現すべく、ポリオワクチンの調達などを支援するものです。12カ月にわたって行われる本取り組みでは、定期予防接種および追加予防接種活動を通じて、1200万人以上の5歳未満児に命を守るポリオワクチンが届けられます。これにより、ポリオワクチン接種の着実な実施を図り、アフガニスタンにおける子どものポリオ罹患の低減、人々の健康的な生活の確保、持続的・自立的発展に寄与することが期待されます。
外務省の見解によると、アフガニスタンは世界の中で子どもの死亡率が非常に高い国の一つであり、主な原因の一つとしてワクチンで予防可能な疾病があげられ、子どもの感染症の発症及び流行を予防するためには、ワクチン接種率の向上が求められているとしています。特にポリオについては、現在も同国では野生株ポリオウイルスが常在しており、世界的なポリオ根絶に向けて、戦略的かつ重点的な対応が求められているとしています。
ポリオ根絶は人道支援の最優先課題
アフガニスタンは、ポリオが依然として子どもたちの命を脅かしている世界最後の2カ国のうちの一つです。野生株ポリオウイルスの症例数は2024年の25件から2025年12月時点で10件に減少しており、進展が見られています。しかし高リスク地域でウイルスの流布が続く限り、ワクチン接種を受けていない子どもたちはぜい弱な立場に置かれ、多大な尽力の下で得られたポリオ根絶に向けたこれまでの成果が失われる恐れがあります。
ポリオ根絶に向けた支援の緊急性は、2025年8月に発生した地震による保健施設の損壊や保健システムとサービスの中断など、人道状況の悪化が重なることでさらに高まっています。また何百万人もの人々がアフガニスタンに帰還しており、その多くは基礎的な保健ケアへのアクセスが限られている、あるいは中断されている子どもたちです。その結果、これらの子どもたちはポリオやはしか、百日咳など、ワクチンで予防可能な病気にかかりやすい状態です。
UNICEF アフガニスタン事務所代表のタジュディーン・オイワレ氏は「アフガニスタンにおけるポリオ根絶は手の届くところまで来ています。しかし、その実現には、すべての子どもたちに毎回確実にワクチンを届けることが不可欠です。日本政府と国民の皆様の継続的なご支援は、最もアクセスが困難な地域に暮らす子どもたちを含む、最もぜい弱な立場にある子どもたちに確実にワクチンを届けることを可能にし、この取り組みを後押しします」と述べました。
日本は20年以上にわたり、アフガニスタンにおけるUNICEFの主要なパートナーとして、ワクチンの調達、コールドチェーン・システム、予防接種事業を支えてきました。国際協力機構は1974年以来、アフガニスタンの保健分野を支援しており、ワクチン供給やコールドチェーンの能力向上を含む予防接種制度の強化において、20年以上にわたりUNICEFと緊密に協働してきました。
タリバンによる女性抑圧の実態
しかし今回の支援には重大な問題があります。支援の対象となるアフガニスタンは、2021年8月にイスラム主義勢力タリバンが実権を掌握して以降、女性と少女の人権を徹底的に弾圧しています。タリバンは女性と少女の自治、権利、日常生活を直接的な標的とする、少なくとも70の法令や指令を発しており、この抑圧的な環境がアフガニスタンの女性たちの生活の質を著しく悪化させています。
2021年8月以来、タリバンはアフガニスタンで女性と少女の教育へのアクセスを組織的に解体し、ますます悲惨な制限を強めています。2022年3月に少女の中学校への入学が初めて禁止され、同年12月には大学への入学が停止されました。2023年1月までには、タリバンは少女の大学受験を禁止することで抑圧的な支配力をさらに強め、いくつかの州で見られた男子を上回る少女の受験率などの進歩を事実上消し去りました。
UN Womenの分析によると、2026年までに110万人の少女が学校に通えず、10万人以上の女性が大学に通えなくなります。この影響で、早産率が45パーセント増加し、妊産婦死亡リスクが少なくとも50パーセント増加することになります。2023年4月までに、110万人の中等教育就学年齢の少女を含め、学齢期の少女と若い女性の80パーセントが学校に通えなくなりました。
タリバンは女性に対し教育やほとんどの職業を禁止するなど、拘束的なジェンダー規範を制度化し、公式の法令の中でそうした規範を定着させてきました。このような措置は、公園、ジム、スポーツクラブなどの公共の場から女性を締め出すまでにエスカレートしています。さらに公共の場で歌ったり大声を出したりすることも禁止され、女子選手のパリ五輪参加も認めませんでした。
「タリバンに金出すとか正気か」
「女性を奴隷扱いする政権を支援していいのか」
「子どもは助けたいが政権を認めることになる」
「人道支援と政権承認は別だろ」
「UNICEFなら問題ないのでは」
国際刑事裁判所は2026年1月、タリバン最高指導者アクンザダ師らの逮捕状を請求したと発表しました。女性や性的少数者の移動や表現の自由、教育といった基本的権利を剥奪した「人道に対する罪」の疑いがあるとしています。タリバンへの批判は同じイスラム教スンニ派のサウジアラビアやトルコをはじめ、イスラム協力機構などからも表明されています。
人道支援と政権承認の線引き
日本政府は今回の支援について「アフガニスタンへの人道支援を目的として実施するもの」と明記しています。タリバン政権を国家として承認しているわけではなく、あくまで人道支援として子どもたちの命を守るワクチンを提供するという位置づけです。
正本謙一在アフガニスタン日本国大使は「日本政府および国民は、アフガニスタンにおけるポリオ根絶に向けて、確固たる決意を持って支援を続けていきます。20年以上にわたるUNICEFとのパートナーシップを基盤として、子どもたちの命を守る信頼性の高いワクチンの供給へ継続的に貢献していくことを誇りに思います」と述べています。
UNICEFを通じた支援であることも重要なポイントです。資金は直接タリバン政権に渡るのではなく、UNICEFが管理し、ワクチンの調達と配布を行います。たどり着くことが困難な地域やサービスが行き届いていない地域において、予防接種への公平なアクセスを強化し、ポリオウイルスの感染拡大を阻止するために必要な免疫の構築に貢献します。
しかし人道支援とはいえ、タリバン政権の実効支配下で行われる支援活動は、結果的にタリバンの統治を間接的に支えることにもなりかねません。ポリオワクチン接種事業を実施するには、タリバン政権の協力が不可欠であり、支援を通じてタリバンとの関係が構築されていくことは避けられません。
国際社会はタリバンを国家として承認していませんが、アフガニスタンの現実的な支配者であることは否定できません。人道危機に直面している子どもたちを見捨てることはできないという人道主義と、女性の人権を蹂躙する政権に協力することへの批判のバランスをどう取るのか、高市政権は明確な方針を示すべきです。
9億8000万円という多額の支援を行うのであれば、タリバンに対して女性の教育再開を強く求めるなど、人権改善への圧力と併せて行うべきではないでしょうか。人道支援を行うだけで女性の抑圧に目をつぶるのであれば、日本は国際社会における人権擁護のリーダーシップを放棄したことになります。高市政権は、ポリオ支援の重要性と女性の人権擁護の両立について、国民に対して丁寧な説明を行う責任があります。