2025-11-11 コメント: 1件 ▼
高市首相の消費税ゼロ公約が商品券政策に後退、財務省と麻生副総裁の影響力で政策転換
高市早苗首相が掲げていた「消費税ゼロ」政策が、現実的な対応として商品券やマイナポイント配布による経済対策に後退している。 2025年11月10日に明らかになった政府経済対策の素案では、プレミアム商品券やマイナポイントの発行支援が柱となり、かつて「国の品格として食料品の消費税率は0%にするべき」と主張していた高市首相の政策転換に、国民から失望の声が上がっている。
「消費税ゼロ」から「商品券」へのトーンダウン
政府が策定する経済対策の素案によると、自治体が自由に使える重点支援地方交付金を拡充し、地域で利用できるプレミアム商品券やマイナポイントの発行を支援する方針が示された。米国トランプ政権の関税措置の影響を受ける中小企業の資金繰り支援も盛り込まれている。
しかし、この政策は高市首相がかつて強く主張していた消費税減税とは大きく異なるものだ。2025年5月、自民党税制調査会の勉強会後に高市氏は記者団に対し、「けがをしたり、障害を持っていたりして、働けない方や退職された方も含めて、食料品高くて、今、多くの方がお困りであれば、食料品の税率を0%にするというのは、一つの考え方じゃないかなと私は思いました」と述べていた。
さらに別の機会には「国の品格として、食料品の消費税率は0%にするべき」とまで発言し、消費税減税の必要性を強調していた。
「結局高市さんも商品券なんだ。ガッカリ。」
「これなら石破の2万円の方がまだマシだったな」
「高市を支援している皆さん。これが自民党クオリティです。変わらないんですよ、誰がなっても。」
「5ヶ月前に消費税ゼロを主張してたのに、あっさり手のひら返し」
「総理になったら手のひら返し。公約が実行されたことがない自民党の倣い通りの高市政権」
「レジシステムのせい」発言で炎上
高市首相の政策転換に拍車をかけたのが、2025年11月7日の衆議院予算委員会での発言だった。立憲民主党の本庄知史政調会長から消費税減税について問われた高市首相は、「残念ながら日本の遅れたPOSレジシステムのせい」で実施に時間がかかると説明した。
この発言は大きな批判を呼んだ。実際にはコンビニエンスストアや小売店の多くは、軽減税率導入時の2019年にレジシステムを改修済みで、税率変更は比較的短期間で対応可能とされている。業界関係者からは「1日でできる」「一晩でできる」といった証言も出ており、高市首相の説明は現実と乖離していることが明らかになった。
興味深いことに、同様の「レジシステム」を理由とした消費税減税回避論は、石破茂前首相も2025年5月に使用していた。立憲民主党の野田佳彦代表から食料品の消費税ゼロ案を提案された際、石破前首相は「システム変更に1年かかる」と反論していた。この類似性から、自民党内で消費税減税を封じる際の「テンプレート発言」ではないかとの指摘も出ている。
麻生副総裁の影響力と財務省の壁
高市首相の政策転換の背景には、自民党内の力学と財務省の影響力がある。特に注目されるのが、総裁選で高市氏を支援した麻生太郎副総裁の存在だ。麻生氏は約9年間にわたって財務大臣を務めた経験があり、現在も財務省に大きな影響力を持つとされている。
麻生氏は過去に消費税減税に対して一貫して否定的な立場を取ってきた。2020年のコロナ禍では、与党内から消費税減税の声が出た際も「今の段階で消費税について考えているわけではない」と発言し、減税に慎重な姿勢を示していた。
2025年9月には、消費税減税を訴える立憲民主党の野田佳彦代表や国民民主党の玉木雄一郎代表を名指しで批判するなど、減税論に対する強い反対姿勢を示している。
政界関係者は「おそらく高市さんの消費税ゼロ案は本気だったと思います。しかし、総裁選で彼女を後押しした麻生太郎副総裁は減税に明確な『NO』を突きつけています。高市さんも首相になってあらためて麻生さんの存在感、大きな『壁』であることを認識させられているでしょう」と分析している。
減税から給付政策への方針転換
高市首相は所信表明演説で、自民党が参議院選挙公約に掲げた現金給付について「国民の皆様の理解が得られなかった」として実施を見送る方針を示していた。一方で、「手取りを増やし、家計の負担を減らす」として、ガソリン税の旧暫定税率廃止や冬場の電気・ガス料金支援を打ち出している。
今回明らかになった経済対策では、直接的な減税に代わって、商品券やマイナポイントといった給付型の政策が中心となった。政府関係者によると、コメ価格高騰への対応として「おこめ券」の活用も検討されているという。
こうした政策転換について、高市首相は「事業者のレジシステムの改修等に一定の期間がかかる課題にも留意が必要」と説明しているが、国民からは「言い訳にすぎない」との批判が相次いでいる。
財政出動の手法としては、商品券やポイント制度は消費喚起効果が限定的とされる。現金給付と異なり貯蓄に回りにくい利点はあるものの、恒常的な家計負担軽減効果は期待できず、物価高に苦しむ国民の根本的な解決策にはならないとの指摘もある。
高市首相の経済政策は、当初掲げた理想と現実の政治的制約との間で大きく変質している。国民が期待した「消費税ゼロ」の実現は、財務省の強い抵抗と党内の反対により、従来型のバラマキ政策に後退した形となった。これにより、新政権への期待は早くも試練を迎えている。