2025-07-20 コメント投稿する ▼
ラサール石井氏が参院選で初当選確実に 「芸人」から「政治家」へ、社民党を救う一議席
タレントから政治家へ ラサール石井氏がつかんだ国会の切符
7月20日に投開票された参院選比例代表で、社民党から出馬したタレントのラサール石井氏(69)の初当選が確実となった。選挙戦では「社会をよくするために、笑いではなく法律で勝負する」と語り続けた石井氏。かつてのコメディアンから一転、国会議員として新たな一歩を踏み出す。
石井氏は大阪市生まれ。進学校ラ・サール高校卒業後、「コント赤信号」としてテレビの第一線で活躍。声優としては人気アニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で主人公・両津勘吉を演じ、世代を問わず親しまれてきた。だがその後、社会問題や政治的発言を積極的に行うようになり、福島瑞穂党首の声がけで社民党公認として立候補するに至った。
今回の選挙は、政党要件ギリギリの社民党にとって「崖っぷち」の戦い。その中で石井氏は「政治は難しい言葉を並べるだけじゃない。生活の言葉で語れる政治家が必要だ」と訴え、街頭では自らマイクを握って地道に支持を集めた。
「ただの有名人じゃなかった。言葉がちゃんと届いてきた」
「政治に笑いはいらないって思ってたけど、彼の話はなぜか信じられた」
SNS上では驚きと称賛が入り交じり、既成政党に不満を持つ層の“新たな受け皿”として機能したことが見て取れる。
社民党の命運握る1議席 大椿副党首は涙の落選
今回、社民党は比例代表で1議席のみを確保。党副代表の大椿裕子氏は落選し、ベテラン政治家を抑えてラサール石井氏が「唯一の比例当選者」となった。福島党首は「石井さんがいてくれたから、党の灯が消えずに済んだ」と感謝をにじませた。
石井氏は、護憲や平和、共生といった社民党の理念を受け継ぎつつ、「古い政党のままでは通用しない」と現実にも目を向け、「消費税の段階的廃止」「格差是正」など、経済政策にも注力した。
「護憲も大事だけど、それだけじゃ票は取れない。ラサールはそこが分かってた」
「副党首が落ちて有名人が通る…って皮肉にも聞こえるけど、今回は正解だったと思う」
ラサール氏の当選は、単なる知名度頼みではなく、本人の言葉と行動が支持を得た結果だと受け止める声も少なくない。
「有名人議員」とは違う “中身”のある政治家を目指す
芸能界から政界入りした“タレント議員”は過去にも存在するが、石井氏は「政治家としてやる以上、中身を見てほしい」と語り、表舞台から一歩引いた姿勢でのぞんでいた。SNSでも政見でも、“ウケ狙い”や“パフォーマンス”は極力排除し、真面目な言葉で政策を伝え続けた。
選挙戦では、街頭演説の中で「私は過去、笑いで飯を食ってきた。でも、いまは誰かを笑わせるより、誰かの暮らしを良くするために汗をかきたい」と語り、多くの支持者の拍手を浴びたという。
「有名人だからじゃない。言ってることに信念を感じた」
「こういう“真剣な政治家”が増えればいい」
当選後には「感情ではなく、論理と誠実さで政治に向き合いたい」と語っており、今後の議会活動に注目が集まる。
「国民の言葉で語れる政治」を訴え続ける覚悟
社民党は近年、議席を減らし続け、政党要件ギリギリの得票率で存続をかける選挙が続いていた。その中で、ラサール氏という新たな“顔”を得たことで、一筋の光明が差したとも言える。
だが、それは一方で、組織としての弱体化を意味する現実でもある。ラサール氏が一議員としてだけでなく、党再生の象徴となれるかどうか。それは、政党の中でどれだけ存在感と行動力を発揮できるかにかかっている。
「この国の政治を、少しでも生活者の目線に近づけたい」――その思いが、本当に届いたのかどうかは、これからの4年間で証明されていく。