【参院選】Zガンダムの「エマ中尉」岡本麻弥氏が出馬　インボイスと消費税の廃止に本気の覚悟

声優40年の節目に国政へ　岡本麻弥氏「もう時間がない。インボイスも消費税も廃止を」

「ここに座っているだけでも怖い。でも、もうそんなことを言っている時間はないんです」

れいわ新選組が6月18日に発表した参議院選比例代表候補の中で、もっとも注目を集めたのは、声優の岡本麻弥氏（58）だった。テレビアニメ『機動戦士Zガンダム』のエマ・シーン役を皮切りに、『サイレントメビウス』『バイオハザード』など数々の名作で活躍してきたベテランが、40年の声優人生を経て、ついに“政治の現場”へと踏み出す。

出馬理由は明確だ。「インボイス制度と消費税、この2つが文化と表現を壊している。だから、私は立ち上がります」

「声優として、もう黙っていられない」

岡本氏の声には、揺るぎない覚悟がにじんでいた。1985年、Zガンダムのエマ・シーン役で声優デビュー。その後も数々の人気作に出演し、2024年には声優活動40周年を迎えた。

だが、「ここまで続けてこられたことは感謝しているけれど、若い後輩たちを見ていて、今のままじゃ続けられないと感じた」と語る。直接のきっかけとなったのは、インボイス制度の導入だった。

「フリーランスで働く声優、ナレーター、舞台俳優、イラストレーター…。みんな声を上げられず、静かに現場を去っていった。このまま見過ごすわけにはいかなかった」

「“時間がない”という言葉に重みを感じた。40年のキャリアから出る本音だ」
「エマ中尉が国会で闘う日が来るとは…でも、頼もしい」

文化を壊すインボイス制度　岡本氏「表現の土台を守るのが政治」

インボイス制度とは、簡単にいえば“適格請求書”を発行する義務を小規模事業者にまで課す仕組みだ。特に免税事業者だったフリーランスにとっては、事実上の増税となり、実入りの少ない仕事を断らざるを得ない状況も生まれている。

岡本氏は「制度の運用が現場を理解していない」と断言し、「文化やエンタメは“余白”がなければ育たない。なのに、その余白を奪っているのが今の税制だ」と語気を強めた。

「誰もが“文化”の受け手になれる社会を守りたい。だから声を上げる」

あわせて、れいわ新選組が掲げる「消費税廃止」の方針にも強く共感している。「生活そのものに重くのしかかっているのが消費税。誰もが“何も買えない社会”では、文化も経済も成り立たない」

「政治は遠い存在ではなかった」反原発デモで知った“共に声を上げる”経験

政治との距離を縮めたのは、東日本大震災後の反原発運動だった。岡本氏は「首都圏反原発連合」のデモに何度も参加し、「政治は誰かに任せるものではない」と実感したという。

その延長線上にあったのが、れいわ新選組とのつながりだった。政策ボランティアとしても関わってきたなかで、「今、声を上げなければ何も変わらない」と出馬を決意。

「“声を上げる人が政治家になる”って、まさに民主主義の理想形」

肩書ではなく、現場からの出馬

れいわは今回、岡本氏のほかにも漫画家の池沢理美氏、経済政策担当の長谷川ういこ氏、脱原発運動のミサオ・レッドウルフ氏の3人を比例候補として擁立したが、岡本氏は芸能界からの「タレント候補」ではない。

「声優という職業を守りたい、文化を未来に手渡したい。その思いが、私を動かしました」

彼女が目指すのは、“エンタメが楽しめる日本”を取り戻すことだ。「表現者が生きづらい社会で、私たちは何を観て、何を聴いて、何を感じればいいのか。その問いに、私は国会で答えたい」