2025-07-22 コメント: 1件 ▼
吉村知事「特区民泊は一旦立ち止まるべき」 騒音・治安悪化・外国資本の集中で見直しへ
吉村知事「役割は終えた」 特区民泊に新規停止を提案
大阪府の吉村洋文知事は22日、国家戦略特区に基づく「特区民泊」制度について、「新規申請の受け付けをいったん停止すべきだ」と明言し、大阪市の横山英幸市長に正式に提案したことを明らかにした。大阪市は全国の特区民泊の95%を占める約6300件を抱えるが、騒音やごみ、治安悪化など問題が深刻化している。
吉村氏は、「当初は急増するインバウンド需要に対応するためだったが、今はラグジュアリーホテルなどの整備も進み、一定の役割は果たした」と述べ、制度の段階的見直しに踏み切る意向を示した。
特区民泊は旅館業法の特例として、住宅宿泊事業法の「年間180日以内」制限を受けず、通年営業が可能な制度。だがその利便性が仇となり、大阪市ではマンション1棟まるごと民泊化される事例や、住民との摩擦、ルール無視の運営などが相次いでいる。
「民泊がビザ取得の手段に」吉村氏が安全保障上の懸念も明言
吉村氏は、選挙期間中にも民泊制度をめぐる外国人事業者の動向に警鐘を鳴らしていた。「特区民泊を使って経営・管理ビザを簡単に取得しているケースがある」とし、「これが事実であれば、自治体の問題ではなく、国が厳しく取り締まるべき制度の抜け穴だ」と指摘。地方行政の域を超えた、国家の安全保障に関わる問題だという強い認識を示している。
大阪市内では、特区民泊事業者の約4割超が中国人または中国系の法人と見られており、不動産の集中所有への不安も広がっている。吉村氏は「特区制度の精神を踏みにじるような使われ方がされているなら、本来の目的から逸脱している」と語った。
「吉村さんの判断は正しい。もう民泊はコントロール不能」
「安全保障を口にするのは勇気がいる。でも必要なこと」
「民泊がビザ取得の踏み台にされてる現状は異常」
「地元の声を聞いて、ここまで踏み込んだ吉村知事は評価できる」
「ようやく“何でも規制緩和”が正義じゃないと気づいた」
こうした声からも、吉村氏の今回の判断は、地域住民や保守層を中心に一定の支持を集めている。
横山市長は慎重姿勢も PT設置で制度見直しへ
吉村知事の提案に対し、大阪市の横山英幸市長は22日、「受け付け停止については25日に設置するプロジェクトチーム(PT)での議論を経て判断する」と述べ、制度全体の見直しに含みを持たせた。PTでは、特区民泊の実態調査や宿泊需要の推移、地域トラブルの分析などを行う見通しだ。
横山市長もまた「制度改正も視野に、関係機関と協議を進めたい」と語っており、府と市が足並みをそろえて制度見直しへと動き出した格好だ。
国家戦略特区制度そのものの再検討も視野に
吉村知事は、今回の問題は「自治体だけでは解決できない」と明言。ビザ取得目的の制度利用、外国資本による不動産の集中所有、そして近隣住民とのトラブル多発など、自治体の権限を超える課題が積み重なっている現状を踏まえ、「特区制度そのものの設計を国として見直すべき時期に来ている」と訴えた。
特区民泊はこれまで、インバウンド需要に応じた柔軟な宿泊受け皿として重宝されてきたが、現在はむしろ地域との摩擦を生み、制度の濫用を招く側面が強まっている。吉村氏の提案は、単なる停止要求にとどまらず、「規制緩和一辺倒」の見直しと、安全保障を含む国家的対応を促すものとして、今後の全国的な議論にも波及しそうだ。