2026-02-20 コメント投稿する ▼
大阪府がiPS細胞産業化に1億円超支援、中之島クロスで投資呼び込み
大阪府が人工多能性幹細胞を使った再生医療の産業化に向けて、2026年度当初予算案に約1億3630万円を計上しました。国内外からの投資を呼び込み、スタートアップの事業化を後押しする狙いです。大阪・関西万博で心筋シートとして注目を集めた再生医療等製品リハートは、2026年2月19日に厚生労働省の専門部会で条件付き承認が了承されました。開発を主導した大阪大学の澤芳樹特任教授は、未来医療国際拠点である中之島クロスの理事長も務めています。
日本のスタートアップが直面する3つの壁
医療技術の産業化には、魔の川と呼ばれる開発の困難、死の谷というビジネス化までの難所、ダーウィンの海という市場での生存競争という3つのハードルが存在します。特に日本のスタートアップが直面しているのがダーウィンの海です。
澤氏はこれまで、日本の科学レベルがいくら高くても製品化できなければ人類に貢献しないと訴え、スタートアップの成長や関連技術の製品化に向けた投資環境の整備を求めてきました。いくら優れた研究成果があっても、それを実際の医療製品として患者に届けられなければ意味がないという考えからです。
大阪府は中之島クロスへの支援を通じて、再生医療のスタートアップ創出と育成から技術の社会実装までを後押しする方針です。2026年度当初予算案では、再生医療の産業化に関連した事業費として約1億3630万円を計上しました。
「iPS細胞の実用化、やっと本格化してきた感じがする」
「大阪は再生医療の聖地になるかもしれない」
「投資環境の整備は必要だけど、税金の使い道はしっかり監視しないと」
「万博のレガシーとして本当に根付くかが勝負だね」
「海外との連携で日本の技術が流出しないか心配」
海外ベンチャーキャピタルとの連携促進
予算案のうち約3960万円は、新興企業に出資する海外のベンチャーキャピタルなどを巻き込む連携促進事業に充てられます。中之島クロスに投資コミュニティーを形成したり、国際的な規制に関する戦略を策定したりする取り組みを支援します。
再生医療の実用化には多額の資金が必要です。しかし日本国内だけでは十分な投資資金が集まりにくく、海外の投資家を呼び込む仕組みづくりが不可欠とされています。特に生命科学分野で先行する海外との連携を促進することで、グローバルな投資を呼び込む狙いです。
約1940万円を計上したネットワーク構築事業では、中之島クロスを核として、再生医療の産業化に関する国際的課題を議論するラウンドテーブルを立ち上げます。2026年夏ごろの初会合開催を目指しています。
吉村知事が万博レガシーとして推進
吉村洋文知事は2026年2月18日の記者会見で、中之島クロスという医療のイノベーションが生まれる拠点でスタートアップ支援を実施し、海外の支援機関との連携強化を進めると述べました。大阪・関西万博で展示された再生医療技術を、単なる展示で終わらせずに産業化につなげる考えです。
中之島クロスは2024年6月に全面開業した再生医療の産業化拠点です。循環器科や眼科などの医療機関のほか、製薬会社や医療機器メーカーなど30社以上が入居しています。大阪府のほか、ロート製薬や岩谷産業など21の企業と病院が参画する未来医療推進機構が運営を担っています。
京都大学iPS細胞研究財団も研究開発施設を設け、患者本人の血液から医療用iPS細胞を安価で製造して提供するプロジェクトを進めています。山中伸弥理事長は、最適なiPS細胞を良心的な価格で企業に届けると意欲を語りました。
世界初のiPS細胞製品実用化
2026年2月19日、厚生労働省の専門部会はiPS細胞を使った再生医療2製品の製造販売を了承しました。重い心不全治療に用いるクオリプスの心筋細胞シートリハートと、進行したパーキンソン病治療に用いる住友ファーマのアムシェプリです。
iPS細胞製品の実用化は世界初となります。京都大学の山中伸弥教授が2006年にマウスiPS細胞の作製に成功してから20年、日本発の技術がいよいよ実用段階に入りました。再生医療と遺伝子治療の世界市場は、2040年に約12兆円規模へ拡大すると見込まれています。
大阪府は中之島クロスを核とした支援を通じて、再生医療の社会実装を推進する考えです。万博のレガシーとして再生医療産業を大阪に根付かせ、新たな成長産業として育成する狙いがあります。