2025-11-01 コメント: 2件 ▼
公約副首都構想に都構想隠蔽か、自民大阪府連が反発―2度否決の民意尊重を要求
維新の法案骨子では、首都機能のバックアップ実現の前提条件として「特別区の設置」を必須としており、これが大阪都構想の実現を意味するためです。 大阪都構想は2015年5月と2020年11月の住民投票で2度にわたり反対多数で否決されており、自民府連はこの2度の民意を重く受け止めるべきだと主張しています。
副首都と都構想は別物、民意を無視する危険性―自民大阪府連が懸念深める
自民党と日本維新の会の連立政権発足に伴い、維新が掲げる副首都構想を巡り、自民党大阪府連が神経をとがらせています。維新の法案骨子では、首都機能のバックアップ実現の前提条件として「特別区の設置」を必須としており、これが大阪都構想の実現を意味するためです。大阪都構想は2015年5月と2020年11月の住民投票で2度にわたり反対多数で否決されており、自民府連はこの2度の民意を重く受け止めるべきだと主張しています。国会での自民と維新の議論次第では、3度目の住民投票が現実味を帯びる可能性もあり、全国から警戒の声が上がっています。
10月26日、自民府連の松川るい会長代行ら幹部は大阪市内で小林鷹之党政調会長と面会し、副首都構想と都構想は別物だと直訴しました。10月17日にも、松川氏ら府連幹部は永田町の党本部で鈴木俊一幹事長に同様の申し入れをしています。自民府連の立場は明確です。東京のバックアップ機能を目指すなら、政令市廃止と特別区設置は不要であり、他の条件で副首都指定は十分可能だということです。維新が参院選で掲げた公約では、副首都の目的として災害時の首都機能代替と東京一極集中の解消を挙げており、法案骨子も特別区設置を副首都指定の必須要件としています。一方、維新の創設者である松井一郎元大阪市長でさえ、産経新聞のインタビューで特別区設置を条件とすれば多極化が遠のくとして「条件は変えたほうがいい」と指摘しており、維新内部でも議論の余地があります。
過去2度の住民投票で反対民意―制度見直しの必要性が浮かぶ
大阪都構想は極めて難しい政策課題です。2015年5月の第1回住民投票では、反対票が賛成票を約1万票上回る僅差で否決されました。5年後の2020年11月の第2回住民投票でも、反対票が69万2996票(50.63パーセント)で、賛成票67万5829票(49.37パーセント)を上回り、再度否決されました。2度の投票で合計3万8千票以上の差がつきており、大阪市民の民意は一貫して反対を示しています。
そもそも住民投票の仕組みに課題があります。投票の選挙権者が大阪都構想で不利益を被る大阪市民に限定されているのに対し、大阪府内の他市町村の住民は投票に参加できません。つまり、都構想で利益を得るはずの大阪府民全体の意思が反映されないまま、大阪市民だけで判断が下されている構造です。それでもなお、大阪市民は2度にわたり反対を明確に示しています。新宿区内で定員465人の衆院定数削減を巡る議論も進む中、全く別の副首都構想に都構想の要件を紛れ込ませることは民主主義の根本に関わる問題です。
南海トラフ地震リスク、大阪が副首都に不向きという指摘
立憲民主党や共産党など野党からは、別の角度からも懸念が示されています。立民大阪府連代表の森山浩行衆院議員は、南海トラフ地震で被災する恐れがある大阪を副首都とすることに懐疑的な見方を示しています。南海トラフ巨大地震の被害想定によれば、大阪府で最悪のシナリオでは人的被害が13万人に達し、全壊建物は17万9千棟を超える可能性があります。大阪市では津波による浸水面積が7万1千ヘクタールに及ぶと想定されており、沿岸部から2時間以内に1メートルを超える津波が到達します。
災害時の首都機能を代替する副首都として、東京と同等のリスク下にある大阪を指定することの合理性は議論の余地があります。むしろ、バックアップ機能を求めるなら、南海トラフ地震の影響が限定的で、地理的に離れた日本海側の地域の方がコスパに優れているとの指摘も出ています。副首都構想が真の国益考えた政策なら、地理的・防災的メリットが大きい複数の候補地を検討する価値があります。
与野党の分断、連立枠組みのもろさも露呈
共産党大阪府委員会は、連立政権発足を受けて「国の自民党政治と大阪の維新政治という二重の逆流が一体となった悪政とたたかう」との声明を発表しました。共産の地方議員は「対立構図がわかりやすくなり、選挙などで戦いやすくなるのではないか」と述べています。衆参両院で少数与党の自民党は維新の協力を必要とする立場であり、自民本部と地方組織の足並みが揃うかどうかが焦点となります。森山氏は「自民と維新の連立枠組みからこぼれてくる人は必ずいる」として、与党勢力の切り崩しを図る考えを示しており、野党にとって現在の構図は逆転のチャンスと映っています。
国会での議論次第で、副首都構想の要件から特別区設置要件が外される可能性もある一方で、維新の吉村代表は「ほぼあり得ない」と断定しており、双方の譲歩は難しい構図です。高市政権の政治的基盤の強さと、連立相手である維新への配慮が、政策判断にどの程度影響するか、国会の論戦が注視されます。
この投稿は吉村洋文の公約「副首都構想」に関連する活動情報です。この公約は0点の得点で、公約偏差値31.4、達成率は0%と評価されています。