2026-02-26 コメント投稿する ▼
三日月大造知事が核抑止力の限界訴える、滋賀県議会で異例の答弁
滋賀県の三日月大造知事が2026年2月26日の県議会で、核兵器廃絶への強い思いを示す異例の答弁を行いました。広島県知事の平和記念式典でのあいさつを2分半にわたって引用し、「核抑止力の限界」を訴えた知事の姿勢に、議場からも感銘の声が上がりました。
広島県知事の言葉を引用
三日月知事は県議会で、2025年8月6日の広島原爆の日に広島市で行われた平和記念式典での湯崎英彦広島県知事(当時)のあいさつを引用しました。「国守りて山河なし。もし核による抑止が、歴史が証明するようにいつか破られて核戦争になれば、人類も地球も再生不能な惨禍に見舞われます」と述べ、核兵器廃絶の重要性を強調しました。
さらに知事は「核抑止が益々重要だと声高に叫ぶ人達がいます。しかし本当にそうなのでしょうか」「自信過剰な指導者の出現、突出したエゴ、高揚した民衆の圧力。あるいは誤解や錯誤により抑止は破られてきました」「抑止力とは、武力の均衡のみを指すものではなく、ソフトパワーや外交を含む広い概念であるはずです」など、湯崎氏のあいさつの主要部分を2分半にわたって読み上げました。
質問した中山和行議員(日本共産党)は、政治的立場を異にするものの「抑止力の限界をうたっておられ、非常に感銘を受けた」と議場で感想を漏らしました。
「知事がこんなに熱く平和を語るなんて珍しい」
「核抑止力って本当に機能するのか、考えさせられた」
「理想論だけじゃ国は守れない」
1959年の平和宣言を再評価
中山議員は質疑の中で、1959年2月に滋賀県議会が全会一致で可決した「平和宣言」の全文を紹介しました。この宣言には「核兵器の禁止と世界の恒久平和実現のために永遠の平和県滋賀の建設に邁進せんことを期す」と記されており、当時の県議会が核兵器廃絶に向けた強い決意を示していました。
三日月知事は「平和宣言の内容を知らなかった」とことわった上で、「この良識や思いを受け止めなければならない」と述べました。知事は2025年5月に広島で被爆者の証言を聞いた経験を紹介し、「二度と核兵器による被害者を出してはならない。そのためにも被爆の実相を学ぶこと、語り継ぐことが重要だと改めて感じた」と思いを表明しました。
「60年以上前の県議会の方が先進的だった」
「平和の理念は大事だけど、現実の安全保障も考えないと」
核抑止力を巡る議論
三日月知事の答弁は、核抑止力の有効性を巡る議論に一石を投じるものです。近年、中国の軍事的台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発により、日本を含む東アジア地域の安全保障環境は厳しさを増しています。政府は日米同盟の強化や防衛力の増強を進めており、核抑止力の重要性が強調されています。
一方で、三日月知事が引用した湯崎氏の言葉は、核抑止力の限界を指摘するものです。歴史上、核抑止が機能しなかった事例や、誤解や錯誤により核戦争の危機に陥ったケースは複数あります。1962年のキューバ危機では、米ソが核戦争の瀬戸際まで達し、人類は滅亡の危機に直面しました。
「核兵器がある限り、いつか使われる日が来るかもしれない」
「でも日本を守るには抑止力が必要だ」
理想と現実のバランス
三日月知事は議会後の記者会見で「被爆地の知事の言葉は重い。いつもとは違うあいさつだと感じ、強く共感した。普段から持ち歩いており、紹介したいと思った」と説明しました。知事の姿勢は、核兵器廃絶という理想を追求するものですが、現実の安全保障環境との整合性が課題となります。
日本は唯一の戦争被爆国として、核兵器廃絶を訴え続けてきました。しかし同時に、アメリカの核の傘に依存することで自国の安全を確保しているという矛盾も抱えています。核兵器禁止条約には署名せず、核抑止力を前提とした安全保障政策を維持しています。
地方自治体の首長が平和や核廃絶を訴えることは重要ですが、国家の安全保障政策とは別次元の議論です。理想と現実のバランスをどう取るか、国民的な議論が必要です。憲法改正や防衛力強化を進める高市早苗政権の下で、核抑止力の是非を巡る議論は今後も続くでしょう。
三日月知事の今回の答弁は、平和への思いを示すものとして評価される一方、具体的な安全保障政策としてどう実現するのかという課題も残しています。