2025-06-10 コメント投稿する ▼
法務委員会で参考人が「神聖な場所」と苦言 島田洋一氏「奇声やめて」発言で緊張走る
参考人が「神聖な場所」と苦言 法務委が異様な空気に
6月10日の衆院法務委員会は、選択的夫婦別姓に関する参考人質疑の場でありながら、委員同士の不規則発言や、質疑の妨害とも受け取られる発言が相次ぎ、緊張が走る展開となった。参考人として出席した元東京新聞編集委員で皇學館大学特別招聘教授の椎谷哲夫氏は、議員たちのヤジに苦言を呈し、「神聖な場所だと思って来たが、非常に残念だ」と発言。国会の品位を問う声が高まっている。
ヤジが飛ぶのは非常に残念。私へのヤジでなくてもやめてほしい。もっと神聖な場所でしょ、ここは
と、椎谷氏は議員らに静かに言い聞かせた。
この場面は、参考人が質疑応答を行う重要な時間にもかかわらず、緊張と軽薄さが入り混じった異様な空気を物語っていた。
島田洋一氏「奇声やめて」発言で場内騒然
問題の発端は、参考人質疑の最中に交わされた不規則発言だった。日本保守党の島田洋一氏が質疑の途中で言葉を止め、右後方を振り返って、
ちょっと奇声を発するのはやめて
と声を上げた。
この発言は委員会室内の空気を凍りつかせ、立憲民主党議員が反応。島田氏はなおも、
ちょっと奇声を発するのはやめてもらえますか
と繰り返したが、西村智奈美委員長(立憲)はすぐにこれを制止。
適切な言葉遣いを。不規則発言ではあるが、奇声ではない
とたしなめた。島田氏はこれに対し、
見解の相違ですね
と応じ、謝罪も撤回も行わなかった。場内の空気はさらに硬直し、審議の本筋からも大きく逸れていった。
「“奇声”って言葉、国会で使うのはどうかと思う」
「参考人にまで気を使わせるヤジって、恥ずかしすぎる」
「委員会の品格が問われる場面だった。島田氏の言葉も適切とは言えない」
「政策を議論する場所が感情のぶつけ合いになってる。情けない」
「これじゃ委員会じゃなくて小競り合いの場だよ」
政策論争ではなく「騒動」に焦点が移る
この日の法務委では、制度の是非を問う建設的な意見交換よりも、議場内の混乱や応酬が注目を集める格好となった。椎谷氏は冷静に、
制度導入に際して『自分に関係ない』と言い切るのは暴論に近い
と立憲民主党案に対する一部の批判に対し、制度的な説明と反論を丁寧に行っていたにもかかわらず、議場内のヤジと騒ぎによって答弁の一部がかき消されるような状態となった。
さらに、椎谷氏は制度的な論点に踏み込む形で、
立憲案では、現行の同姓婚でも1年間の経過措置で旧姓に戻ることができる。そうした仕組みも含め、導入議論には慎重さと理解が必要だ
と述べたが、その丁寧な説明の空気は、議場全体の落ち着きを欠いた雰囲気の中では、十分に伝わらなかった感も否めない。
参考人制度のあり方が問われる
今回のように、外部から専門的見解を述べるために招かれた参考人が、議場の騒然とした空気や不規則発言の応酬に巻き込まれるケースは稀とはいえ、決して初めてではない。だが、本来、参考人は冷静かつ専門的な意見を持ち込む「知の補完役」であるはずだ。
参考人にまで「神聖な場であってほしい」と言わせてしまうような国会の現状に対し、国会自体の運営姿勢が問われる局面でもある。議論の舞台が本来の政策論争から逸れ、感情のぶつかり合いや印象操作の応酬になっては、国民の信頼を得ることは難しい。
国会議員一人ひとりが、その言葉と態度に責任を持つべきであり、委員会という場の意味と価値を再認識する必要がある。政策論争を本筋に戻し、建設的な提案と批判を交わす国会に立ち返るべき時ではないだろうか。