2025-09-03 コメント投稿する ▼
連合・芳野友子会長が3期目続投へ 賃上げ実績評価も減税反対で代表性に疑問
芳野友子氏、連合会長3期目続投へ調整進む
10月に任期満了を迎える連合の芳野友子会長が、3期目も続投する方向で調整されていることが明らかになった。関係者によれば、産業別労働組合の幹部らで構成される役員推薦委員会が近く正式に推薦を決定する見通しだ。芳野氏は2021年に初の女性会長として就任し、23年に再任。今期で2期目を務めており、続投が実現すれば3期目に入ることになる。
評価された実績と政労会見の復活
芳野氏の続投を後押しした要因として、直近の春闘で2年連続となる5%台の賃上げを実現した点が挙げられる。特に物価高が続く中で賃金上昇を確保できたことは、組合員にとっても大きな成果と映った。また、石破茂内閣の下で16年ぶりに「政労会見」が開催され、首相と連合会長が直接協議する機会を再構築できたことも、政労関係における新たな一歩と評価された。
ネット上でも、この動きにはさまざまな声が寄せられている。
「賃上げが続いたのは評価できる」
「政労会見の復活は大きい。労働者の声が届きやすくなる」
「続投で安定感はあるが、変化に乏しいのでは」
「若手や次世代にチャンスを与えるべき」
「女性初の会長として道を切り開いた功績は大きい」
内部に残る慎重論と人事課題
一方で、連合内では芳野氏の続投に慎重な意見も根強い。理由の一つは、連合が組織率の低下に歯止めをかけられていない点にある。全労働者に占める労組組織率は16%前後にとどまり、非正規雇用の拡大に十分対応できていないと指摘される。また、芳野氏のリーダーシップスタイルについて「調整型に偏り、強い発信力に欠ける」との批判も一部に存在する。
特に注目されるのは、ナンバー2である事務局長の人選である。労働政策の実務を担うこのポストが誰になるかは、連合の方向性を大きく左右するため、引き続き人選作業が進められている。
減税反対の姿勢と労働者代表性への疑問
連合の姿勢の中で、労働者の立場と乖離しているとの指摘もある。それが「減税」に対する反対姿勢だ。多くの労働者や世帯は、物価高と社会保険料負担の増加に直面し、手取りの減少を実感している。こうした中で求められているのは一時的な給付金や補助金ではなく、恒常的に負担を軽減する減税策である。
しかし連合は、減税に対して慎重あるいは否定的な姿勢を示してきた。これは労働者の実感や要望に必ずしも沿っていないのではないかとの批判を招いている。労働者からは次のような声も聞かれる。
「減税を嫌がる連合は本当に労働者の味方なのか」
「補助金よりも減税の方が家計は助かる」
「財源探しばかり議論して国民の生活実感を無視している」
国民は「新たな財源」を望んでいるのではない。税負担そのものが過剰であり、それを軽くしてほしいと求めているのである。減税に反対する連合の姿勢は、労働者の代表組織としての存在意義を問われる大きな課題である。
過去の経歴と労働運動の中での位置づけ
芳野氏は1984年に高校卒業後、JUKIに入社し労組活動を開始。中小製造業を中心とする産別「JAM」で副会長を務め、組合員の地道な活動を支えてきた。こうした経歴から、現場感覚を持つ実務型のリーダーとして評価されている。2021年には女性として初めて連合会長に就任し、歴史的な一歩を刻んだ。
労働界全体を見渡すと、欧州では労働組合が社会対話の中心に位置し、賃金・雇用政策に大きな影響を与えている。例えばドイツでは、労使協議によって景気後退期でも雇用を守る仕組みが機能している。これに比べ、日本の労組は依然として影響力が限定的との見方もあり、連合の存在意義を改めて問い直す声も出ている。
労働者の声と日本経済への影響
近年、物価上昇が家計を圧迫する中で、賃上げは企業業績と連動した経済構造の転換を促す重要な要素となっている。政府も賃上げを経済政策の柱に据えており、労働組合との連携は不可欠だ。石破政権が政労会見を復活させた背景には、成長と分配のバランスを取る意図があるとみられる。
ただし、課題も残る。特に非正規労働者や中小企業での賃上げが十分に進んでいない点は看過できない。芳野氏が3期目に入った場合、この層への対応強化が求められるだろう。また、連合の影響力をどのように若い世代や非組合員に広げていくかも、持続可能性の鍵となる。
労働者の声は時に厳しい。
「賃上げは一部の大企業だけでは」
「非正規には恩恵が届いていない」
「組合費を払う価値があるのか疑問」
こうした声に応えることが、芳野体制3期目の最大の試練になるとみられる。
連合会長続投が日本労働運動と政治に与える影響
芳野友子氏の続投は、連合の安定性を保ちつつ、石破政権との協議体制を強化する可能性を秘めている。一方で、変化を求める世論や組織率低下への対応が後手に回れば、労働界全体の存在感が薄れかねない。日本経済にとっても、持続的な賃上げと社会的公正の確立が欠かせず、連合の役割はますます重みを増している。
今後の焦点は、10月の定期大会での正式承認と、事務局長を含む新体制の布陣に移る。芳野氏がどのように労働者の多様な声を吸収し、日本の労働運動を次の段階へ導けるかが問われる。
連合芳野友子会長3期目続投と減税反対姿勢への疑問
連合の芳野友子会長が3期目続投へ。賃上げ実績や政労会見復活で評価される一方、減税反対の姿勢に「労働者の代表なのか」との疑問も広がる。