2025-04-01 コメント投稿する ▼
河野太郎氏が語る年金制度改革の未来:少子高齢化時代に必要な新たな保障とは
■ 年金制度の現状と課題
現在の年金制度は、「賦課方式」と呼ばれる仕組みです。これは、現役世代が支払った保険料を、そのまま高齢者世代の年金に充てるというものです。かつては、若い世代が多く、人口が増加していた時代には機能していたこの制度。しかし、少子高齢化が進んだ今、現行の方式では成り立たなくなりつつあると河野氏は指摘しています。
また、基礎年金の月額は1万6980円で、40年間納付しても受け取れる年金額は約6万8000円に過ぎません。これでは、老後の生活を支えるには不十分であり、高齢者が生活保護を申請するケースが増えているのも現実です。
■ 河野氏が提案する年金改革案
河野氏は、年金制度改革において二つの主要な提案をしています。
まず、基礎年金を「最低限の生活保障」と位置づけ、その財源を保険料ではなく、税金で賄うべきだと主張しています。これにより、全ての高齢者に一定の生活保障を提供できるとしています。
さらに、現行の賦課方式から「積立方式」への移行を提案しています。積立方式では、現役時代に自分で積み立てた金額を将来受け取るという仕組みで、個人の積立額が明確になり、将来の年金額も予測しやすくなります。少子化の影響も受けにくいため、制度の安定性が高まるとされています。
■ 公的年金の重要性
若い世代からは、iDeCoやNISA(少額投資非課税制度)を利用して、自分で運用した方が得だという意見もあります。しかし、河野氏は、公的年金には「長寿リスク」と「怠惰リスク」を回避する重要な役割があると語っています。長寿リスクとは、予測できない寿命に対して資産が枯渇するリスク、怠惰リスクとは、目先の生活費を優先しすぎて将来のための貯蓄ができなくなるリスクです。民間の投資では、これらのリスクをカバーするのは難しいため、公的年金は必要不可欠だというわけです。
■ 移行の課題と解決策
積立方式への移行には、一つ大きな課題があります。それは、現在の年金受給者への給付を続けながら、新たに積立を始めることによる「二重負担」です。この負担を軽減するために、河野氏は「国債の長期発行と長期償還」を提案しています。国が一時的に負担し、時間をかけて返済していくという方法です。
■ 今後の議論の重要性
河野氏は、年金制度の改革において最も重要なのは、「制度が破綻しないか」という議論ではなく、「老後の生活をどう保障していくか」という視点だと強調しています。現行制度の維持ではなく、働いてきた人々が老後を安心して過ごせる年金制度をつくるべきだという立場です。この問題は、政治家にとって避けて通れない重要な課題であり、与野党を超えた広範な議論が必要だと訴えています。