2025-07-20 コメント投稿する ▼
自民・杉田水脈氏が参院選で落選確実に 保守論客の終焉か、党内処分響く比例戦
参院比例で落選確実 保守系女性議員に幕
7月20日投開票の参院選比例代表で、自民党の元衆院議員・杉田水脈(みお)氏の落選が確実となった。保守派の論客として知られ、SNSや国会質疑などで積極的に発言してきた杉田氏だが、今回は自民党の比例名簿に記載されながらも支持が伸びず、議席獲得には至らなかった。
杉田氏は2012年に日本維新の会から兵庫6区で初出馬し、比例近畿ブロックで復活当選。2017年からは自民党に移籍し、比例中国ブロックで再選を重ね、総務政務官も務めた。だが、昨年の派閥パーティー収入不記載事件で党から役職停止6か月の処分を受け、衆院選出馬を見送っていた。
今年3月には比例区での復帰を目指し参院選出馬を決めていたが、過去の言動や党内処分が尾を引き、保守票の結集にはつながらなかった。
「保守の顔として頑張ってほしかったけど、タイミングが悪かった」
「党からも距離を置かれてた印象だったし、今回は厳しいと思ってた」
SNSには、落選を惜しむ声と、今回の処分や姿勢に疑問を抱く声が入り混じっている。
「処分明け出馬」に冷めた空気 党内支援も限定的
杉田氏は2023年の政治資金問題で役職停止処分を受けた後、目立った政治活動が表舞台に戻る機会は限られていた。処分明け直後の出馬に対し、党内でも「時期尚早」との声がくすぶっていたという。
また、選挙戦では党幹部による応援も限定的で、メディア露出も少なかった。比例代表選では候補者自身の訴求力と地道な組織票の確保が鍵となるが、杉田氏は保守層の支持が強い一方で、過去の発言を巡る批判も根強く、党全体としての支援体制が明確に整っていたとは言いがたい。
「自民の比例候補の中で誰に入れるか迷ったけど、今回は別の人にした」
「処分からの復帰を急ぎすぎた印象。もっと準備してほしかった」
有権者の中にも、出馬への違和感を抱いた層が一定数いたと考えられる。
保守層の象徴的存在、しかし“孤立化”も
杉田氏は、女性として保守的な立場を明確に打ち出していた数少ない議員の一人だった。慰安婦問題、LGBT法案、夫婦別姓、移民問題などに対し、強い懸念や反対の立場を表明してきた姿勢は、一定の層からは「代弁者」として支持されていた。
しかし、その一方で過激な言い回しや誤解を招く発信も少なくなく、党外のみならず党内からもたびたび距離を置かれる場面があった。総務政務官としての在任中にも、発言の一部が国会内外で波紋を呼び、説明責任を求められることもあった。
「杉田さんの主張は理解できるけど、表現で損してた」
「保守を守る人がいなくなるのは不安だが、もう少し現実的な発信が必要だった」
政治的な立ち位置以上に、“どう伝えるか”が問われた人物であり、その課題が結果に直結したとも言える。
杉田氏の落選が示す、自民党内の潮目の変化
今回の落選は、単なる個人の敗北ではなく、自民党内での保守派のポジショニングにも変化が生じていることを示唆している。特に、岸田政権下では中道寄りの政策が打ち出され、移民政策や家族制度に関する議論でも、従来の保守色が薄まりつつある。
一方で、国民民主党や維新の会が「現実的な保守政策」を軸に台頭する中、自民党内保守派の“顔”が次々と表舞台から姿を消す現象が起きている。
杉田氏の落選は、その象徴的な一例と言えるだろう。