交野市長が特区民泊を拒否 中国資本への懸念と観光政策の狭間で揺れる地域社会

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交野市長が特区民泊を拒否 中国資本への懸念と観光政策の狭間で揺れる地域社会

交野市長の「特区民泊NO」発言が投げかける問題


大阪府交野市の山本けい市長が、国家戦略特区の枠組みで認められている「特区民泊」について、厳しい批判を投げかけた。自身の発信で市長は、

特区民泊は、中国人による不動産買い漁りや経営管理ビザを利用した移住につながる売国的な施策だ

と強い言葉を用い、さらに、

中国では自国民が不動産を所有できないのに、なぜ日本で中国人による買い漁りを助長するような政策をするのか

と怒りをあらわにした。市長は、交野市が大阪府内で唯一、特区民泊を最初から受け入れていない自治体であることも強調した。この発言は、観光政策と安全保障、不動産市場の国際化という複雑な課題を改めて浮き彫りにしている。

特区民泊制度の仕組みと大阪の現状


特区民泊は正式には「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」と呼ばれる。旅館業法の特例で、2泊3日以上の滞在を条件に、住宅をまるごと貸し出す形で運営できるのが特徴だ。全国に広がる「民泊新法(住宅宿泊事業法)」が年間180日までの営業制限を設けているのに対し、特区民泊には営業日数の上限がない。観光需要の受け皿拡大を意図した制度だが、一方で最低宿泊日数を設けることで短期利用による騒動を抑える狙いもある。

名称に「外国人」という言葉が入っているため誤解を招きやすいが、実際には日本人も利用可能だ。大阪府では市町村と協議のうえ、全域で実施するか、一部地域に限定するか、あるいは実施しないかを決定している。交野市は当初から「実施しない」との立場を貫いており、他にも堺市や東大阪市、高槻市、枚方市なども同様の判断をしている。

大阪市では、違法民泊の摘発が大きな課題となり、通報窓口の設置や専門チームの立ち上げなど、監視と取り締まりを強化している。適法運営の受け皿を整える一方で、違法施設を排除する両面作戦が続いている。

外国資本と不動産買い漁りへの懸念


山本市長が危惧するのは、不動産市場における外国資本の存在感だ。円安の影響もあり、近年は中国を中心とする海外富裕層が日本の不動産を購入する動きが強まったと指摘されている。都市部の高額マンションやリゾート物件などがターゲットとなり、価格高騰や地域コミュニティへの影響が懸念される。

ただし、経営管理ビザを得るためには、事務所の確保や500万円以上の出資、事業実態の証明など厳しい条件がある。単純に不動産を購入しただけで移住できるわけではない。市長の発言は不安を代弁する形だが、制度上はハードルが高いことも事実である。

また、中国国内の土地制度は、日本とは根本的に異なる。土地は国や集団が所有し、個人は「使用権」を一定期間(住宅で最長70年)得る仕組みになっている。そのため「中国人は自国で不動産を所有できない」という市長の指摘は一面の真実ではあるが、正確には「土地所有権がない」という制度上の違いを反映している。

日本側では2022年に「重要土地等調査法」が施行され、防衛施設や国境離島など安全保障上重要な土地については調査や利用制限の枠組みが整った。だが、外国人による購入自体を一律で禁止する法律は存在せず、監視体制の強化が課題となっている。

観光と安全の両立に必要な視点


民泊は観光資源の拡充や空き家活用といった利点がある一方で、騒音・ゴミ問題や住民とのトラブルを引き起こすこともある。特区民泊は一定の歯止めを設けつつ運営できる制度だが、その効果は自治体の監視体制や住民との合意形成に大きく左右される。

山本市長が示した「拒否」の姿勢は、住民の安全や生活環境を最優先するという明確なメッセージだ。ただし、課題を「外国人」「中国資本」といった単一の軸で語るのではなく、制度の運用や地域の実情を踏まえた議論が必要だろう。観光都市としての発展と住環境の保全を両立させるには、透明性あるルール作りと、住民が安心できる監視・報告体制の整備が欠かせない。

「観光は大事だが、深夜の騒音やゴミは困る」
「2泊以上の条件は短期利用の抑止策。運用次第で評価できる」
「不動産購入だけで移住はできない。制度を正確に理解すべき」
「地域事情を踏まえ、限定的な導入を検討する余地もある」
「安全保障の観点から重要土地の監視はさらに強化すべき」

こうした声に耳を傾けながら、自治体と国がどうバランスを取るかが問われている。

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2025-08-18 17:57:41(藤田)

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