2025-04-24 コメント投稿する ▼
「大阪・関西万博」子ども無料招待の“落とし穴” 交通費自己負担に市長が苦言
万博チケットは無料、だが交通費は別
2025年に開幕する大阪・関西万博に向けて、政府と自治体は「子ども無料招待事業」を打ち出している。しかし、その実態に疑問の声が上がっている。大阪府交野市の山本けい市長は4月、自身のX(旧Twitter)で次のように訴えた。
「無料なのは入場券部分だけです。バス代等は市町村ないしは保護者負担です。万博特別価格で、バス1台チャーターは1日約20万円で1人約5000円します。遠い市町村は、学校単位と言われるとバス利用です。希望者の交通費支援を願いしましたが拒否されました。」
つまり、入場料は「無料」でも、実際には交通費負担という“隠れコスト”が発生しており、家庭や自治体の負担増が避けられない状況だ。
交通費は高額、遠方の自治体ほど負担重く
山本市長が指摘する通り、チャーターバス1台あたりの費用はおよそ20万円。生徒数によるが、1人あたり換算で約5000円とされる。特に万博会場の夢洲(ゆめしま)から遠い市町村にとっては、バス利用がほぼ必須となり、保護者や自治体にとって大きな負担だ。
さらに、画像に示されている団体割引券の料金表によれば、万博前期(開幕~7月18日)の学校団体料金は高校生2000円、中学生・小学生・園児1000円、後期(7月19日~10月13日)には高校生2400円に上昇する。これを踏まえると、交通費を含めた参加費負担はさらに重いものとなる。
背景に「来場者数確保」と「PR効果」重視の姿勢
子どもたちの無料招待は、「未来を担う世代に夢を」との大義名分のもと進められている。しかしその裏には、政府と大阪府が、低迷が懸念される来場者数を確保し、万博の国際的なPR効果を高める狙いもあるとみられる。実際、運営側は目標来場者数2820万人を掲げているが、達成に向けて“数合わせ”に追われている実態も指摘されている。
交通費支援の要望は、一部市町村から正式に上げられたが、政府・運営側は「市町村や家庭で対応してほしい」と支援を拒否した。教育現場からは「無料招待といいながら実質負担が大きすぎる」「一部の子どもしか参加できない不公平が生じる」と不満の声が上がっている。
「夢洲問題」も影を落とす
また、万博開催地の夢洲では、交通インフラの遅れや、周辺施設整備の遅滞も課題となっている。バス移動に頼らざるを得ない背景には、鉄道延伸や道路整備が万博開幕に間に合わない懸念も関係している。
子どもたちへの無料招待事業は一見華やかだが、その陰には各家庭や自治体に大きな負担を強いる構造的な問題が潜んでいる。交野市の山本けい市長の指摘は、万博運営側が「表向きの無料」だけをアピールし、実態を十分に説明していない現状への警鐘といえるだろう。