2025-04-25 コメント投稿する ▼
働く人をカスハラから守る 立憲・国民が対策法案を参院提出 仮処分活用で実効性高める
法案の正式名称は「労働安全衛生法及び特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案」。名前は少し堅いが、中身はきわめて現場感覚に寄り添ったものだ。
被害を未然に防ぐために 事業者に具体策を義務付け
法案では、顧客や利用者から社会通念を超える悪質な言動を受けた場合に備え、事業者に以下の対策を義務づけた。
- カスハラ対応方針の明示と実施
- 労働者からの相談体制の整備
- 正確な事実把握と、場合によっては仮処分の申立てを含む事後対応
特徴は、これらを単なる努力目標ではなく、労働安全衛生法に基づく義務として位置付けた点だ。労働基準監督署など既存の行政の仕組みもフル活用できるため、違反した場合には指導や是正命令が出せる。
さらに、悪質なカスハラに対しては、裁判所に「接触禁止」や「電話禁止」といった仮処分を申し立てる道も開いた。
国家公務員やフリーランスも対象に
保護対象は、企業に雇われている労働者だけにとどまらない。国家公務員、自治体職員、フリーランス、フランチャイズ・オーナーといった立場の人たちも、被害を受けた場合には支援を受けられる。
政府案との差と、法案に込めた思い
同日、政府もカスハラ対策を盛り込んだ労働施策総合推進法等改正案を国会に提出している。だが、立憲民主党の石橋通宏参院議員(発議者)は記者会見で「政府案では実効性が不十分。私たちは既存の労働安全衛生法の枠組みを活用し、命を守るために仮処分制度まで踏み込んだ」と強調した。
石橋氏によると、立憲と国民で案を持ち寄り、協議を重ねて、より強い内容にまとめあげたという。
現場からの切実な声
会見には、バス運転士出身の森屋隆参院議員も同席。「事業者ごとにガイドラインはあるが、対応にバラつきがある。現場の働き手が一人で立ち向かうのは難しい。この法案が後押しになる」と実感を込めた。
法案提出議員たち
発議者は、石橋通宏議員(筆頭提出者)と森本真治議員(いずれも立憲民主党)。賛成者として、小沢雅仁、村田享子、森屋隆各議員も記者会見に出席した。
今後の焦点
カスハラ問題は接客業や運輸、医療、公共サービスなど多くの業種に影響している。国会審議では、法案の実効性や、事業者側の負担にどう配慮するかも問われることになりそうだ。
現場の声にどこまで応えられるか――政治の真価が問われている。
- 立憲民主党・国民民主党が「カスタマーハラスメント対策法案」を参院提出
- 労働安全衛生法に基づき、事業者にカスハラ対策を義務付け
- 仮処分制度も活用し、悪質行為を抑止
- 国家公務員、フリーランスも保護対象に
- 発議者「現場を守る最後の砦に」