2025-03-26 コメント投稿する ▼
「ちょろい国と思われない対応を」梅村氏、経営管理ビザ悪用による医療タダ乗り制限を提案
■ 経営管理ビザの現状と問題点
「経営管理ビザ」は、日本で会社を設立し、事業を経営・管理する外国人向けの在留資格である。このビザを取得することで、本人だけでなく、連れてきた家族も日本の社会保障制度を利用できる。しかし、ビザ取得の条件を満たす会社を設立すれば、3カ月から5年の在留許可が与えられ、家族も含めて社会保障制度を利用可能となる。この仕組みを悪用し、経営管理ビザで日本に滞在する中国人は、令和6年6月時点で2万551人に上り、平成27年から約2.8倍増加した。中国人富裕層がこのビザを利用して、日本への移住を試みるケースが問題視されている。
■ 梅村氏の指摘と政府の反応
梅村氏は、経営管理ビザを取得すれば日本の医療制度で高額な医療費負担を免れることができるとするブローカーの存在を指摘し、「目的を偽って入ってきても、一応大義名分を整えて入ってくると、精査は難しい」と述べた。また、「日本での法人の業績を低く抑えれば、保険料も安く済んでしまう」と指摘し、「ちょろい国・日本」と思われないよう、対応を検討するよう求めた。
これに対し、福岡資麿厚生労働相は、「社会連帯と相互扶助の理念に基づき、国籍のいかんを問わず、等しく保障を及ぼすべきであるというわが国の社会保険制度の基本的な考え方に則ったものだ」と回答。しかし、「外国人が入国目的を偽って在留資格を取得し、日本の医療保険制度に加入するような場合には、被保険者の支え合いで成り立っている医療保険制度の信頼を損なう」とし、「外国人保険者の医療保険利用の実態を把握しながら、適切な利用に向けて取り組んでまいりたい」と述べた。
■ 今後の対応と課題
経営管理ビザを利用した社会保障制度の不正利用を防ぐため、以下の対応が求められる。
- 在留資格取得時の審査強化:
経営管理ビザ取得の際の事業計画や資本金、雇用状況などの審査を厳格化し、実態のある事業運営が行われているかを確認する。
- 医療保険制度利用の実態調査:
外国人保険者の医療保険利用状況を把握し、不正利用の兆候がないかを定期的に調査する。
- 社会保障制度の適正利用啓発:
外国人向けに、日本の社会保障制度の適正な利用方法やルールについての啓発活動を強化する。
これらの対策を通じて、社会保障制度の信頼性を維持し、適正な利用が促進されることが期待される。
■ 関連情報
- 経営管理ビザの取得条件:
経営管理ビザを取得するためには、500万円以上の投資、または日本人や永住者などの常勤従業員を2名以上雇用することが求められる。
- 経営管理ビザの申請手続き:
会社設立後、必要書類を整備し、在留資格認定証明書(COE)の申請を行う。審査期間は通常2~3ヶ月程度。