2025-02-28 コメント投稿する ▼
「なんで逮捕されなきゃいけないの?」 三重の共産党県議のX投稿が波紋—母親の責任か、社会の課題か
事件の概要
三重県警四日市南署は12日、四日市市内の飲食店店員・小林優奈容疑者(29)を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕した。捜査関係者によると、小林容疑者は9日、自宅で女児を出産したが、そのままユニットバス内に放置し、死亡させたとされている。取り調べに対し、小林容疑者は容疑を認めているという。
この保護責任者遺棄致死罪は、殺意の有無にかかわらず重い罪に問われる可能性があり、通常は逮捕・勾留されるケースが多い。
吉田県議の投稿が波紋
逮捕の翌日、13日午後2時半ごろ、吉田氏はXに以下のように投稿した。
「妊娠させた男性はどこへ?育てられないときに途中で選べる選択肢がなさすぎる社会、なに?少子化は全部、産まない女のせい??うるさいよ」
さらに5分後には、
「なんで逮捕されなきゃいけないの?」
と続けた。この投稿に対し、すぐに賛否両論が巻き起こった。
共産党の元衆院議員・梅村早江子氏(60)はこの投稿をリポストし、「一人でどんなに不安で苦しかったか。女性に責任をおわせ女性を責める日本。おかしい」とコメント。容疑者の心情を思いやる意見を示したが、生まれて間もなく命を落とした女児については触れなかった。
一方、SNS上では「子どもを死なせてしまったのに、逮捕が不当だと言うのはおかしい」「どんな事情があろうと命を守る責任がある」といった厳しい声が多数寄せられた。
吉田県議の説明
吉田氏は産経新聞の取材に対し、「SNSは議論の場ではないし、受け取り方が分かれることも意図して投稿した」と説明。さらに、「容疑者ばかりが責められる社会は良くないし、逮捕という対応や法のあり方を含めて問い直したかった。福祉やケアこそが必要だと問題提起したかった。『逮捕するな』とは書いていない」と話した。
法律の専門家の見解
今回の事件について、法律の専門家は「保護責任者遺棄致死罪は、殺意がなくても重い刑罰が科される可能性がある」と指摘する。また、「精神的・社会的背景を考慮することは重要だが、それと法の適用は別の問題。逮捕が不当とは言えない」という意見もある。
浮き彫りになった社会の課題
この事件と吉田県議の投稿をめぐる議論から、社会の課題も見えてくる。
- 予期せぬ妊娠に対する支援不足
十分な支援がないまま妊娠・出産を迎える女性は少なくない。特に、未婚での出産や望まない妊娠に関するサポート体制の充実が求められる。
- 男性の責任が問われにくい現状
妊娠・出産において、女性だけが責任を負わされる風潮が根強い。父親となる男性の責任や支援策の議論も必要だ。
- 相談しにくい社会的プレッシャー
望まぬ妊娠をしても周囲に相談できず、一人で抱え込んでしまうケースが多い。もっと気軽に相談できる場が求められる。
今後の課題
この事件は、単なる一つの悲劇として終わらせるべきではない。
- 包括的な性教育の強化
若い世代に適切な性教育を施し、避妊や妊娠・出産に関する知識を普及させることが重要だ。
- 相談窓口の充実
妊娠や出産に関する相談ができる窓口を増やし、支援策を拡充する。
- 男性への意識改革
妊娠・出産は男女双方の責任であることを社会全体で共有し、男性側のサポート体制も整えるべきだ。