2025-11-10 コメント投稿する ▼
生理用品設置で県庁が動いた/三重県庁トイレ生理用品設置始まる【三重県×吉田紋華】
吉田県議は、2025年3月にSNSで「トイレットペーパーみたいに生理用ナプキンをどこでも置いてほしい」と投稿し、公共施設での生理用品設置の必要性を提起しました。 6月12日の県議会一般質問では、公共施設のトイレに生理用品が設置されていない現状を吉田県議が指摘し、一見勝之知事が「県庁トイレで試行的に、生理用品配布を実行したい」と答弁しました。
県庁トイレに生理用品設置へ―三重県の試みと課題
近日、三重県庁は、県庁1階女子トイレに生理用品(生理用ナプキン)を寄付によって設置する試行を始めました。設置開始は2025年11月10日で、まず1年間を試行期間とし、利用状況を見て継続の可否を判断する方針です。設置された装置は“手をかざすと1枚ずつ取り出せる”仕組みで、同時に県民ホールでは性別による健康課題を紹介するパネル展示も行われています。
この動きのきっかけとなったのが、吉田紋華県議(日本共産党)の声です。吉田県議は、2025年3月にSNSで「トイレットペーパーみたいに生理用ナプキンをどこでも置いてほしい」と投稿し、公共施設での生理用品設置の必要性を提起しました。6月12日の県議会一般質問では、公共施設のトイレに生理用品が設置されていない現状を吉田県議が指摘し、一見勝之知事が「県庁トイレで試行的に、生理用品配布を実行したい」と答弁しました。
SNSでの反応と背景
この話題に対し、SNSではさまざまな声が寄せられています。
「生理用品が公共トイレにあるなんて、ようやく当たり前に近づいた感ある」
「なんで今まで放置されてたんだろ。ありがとう吉田さん」
「寄付で始めるのはいいけど、ずっと無料であるの?続けられるのか心配」
「設置装置って盗難とか悪用されない?管理どうするんだ」
「声をあげた議員に対して8000件近い殺害予告って…怖すぎる」
こうした声にあるように、賛同の声だけでなく、継続性や運営の「管理・負担」に関する疑問、そして議論を発信した議員に対する危険な反応も明らかになっています。実際、吉田県議には約8000件近くの殺害予告や誹謗中傷が寄せられていました。
設置の意義と課題
この取り組みが意味するところは二つあります。第一に、女性が生理の際にトイレで「困る可能性」を行政が認めたという点です。生理用品がない、あるいはアクセスしづらい環境は、性別による負担の不平等を物語っています。吉田県議も「女性のみに課せられる負担を社会全体で考えることが重要だ」と述べています。
第二に、本施策を通じて「生理」や「性と生殖」の問題を県行政のメッセージとして発信した点です。パネル展示が設置と同時に行われたことから、単なる「物品の設置」にとどまらず、課題を可視化する試みと言えます。
しかし、課題も明確です。設置が寄付のみで賄われているため、継続性・制度化には限界があります。県も「1年間の試行」としていますが、試行終了後に何をもって継続とみなすか、財源・管理体制の整備は十分とは言えません。加えて、盗難や多量取得の懸念について知事も答弁で「仮に多くの人が持って行くとしても、困っている人が持って行くなら是とすべきではないか」と述べています。盗難という“理由”で設置なしという態度への警鐘も含んでいるようです。
さらに、公共施設トイレへの生理用品設置は全国的にも進みつつありますが、県によればこの装置の設置は「4都県に次ぎ5例目」とされており、普及度はまだ低いと言えます。
今後の視点
設置が始まったこの機会に、問われるのは次の3点です。
1)試行期間中の利用実績(誰が・どれだけ使ったか)をどう可視化するか。設置数や取出枚数のみではなく、実際に「困っていた人」がどの程度救われたかの定量・定性データが重要です。
2)設置範囲の拡大や公共施設全体への展開。学校、駅、公共施設といった“誰でも使う場”での設置がまだ遅れており、そのための予算化・制度化がカギとなります。
3)運営・管理体制の確立。寄付に頼る形ではなく、行政予算化と管理ルールの適正化(例えば多量取得防止、補充・監査体制など)が必要です。
これらと併せて、行政がこの設置を「一時的な試行」ではなく、日常的な支援の仕組みとして定着させるかが問われます。設置をアピールするだけでは、結局「お飾り政策」になりかねません。なお、生理用品の設置を求めた議員が根拠になる声を上げる意義にも注目すべきです。吉田県議は自らの投稿に多数の誹謗中傷を受けながらも発信を続け、「家父長的な社会構造に声をあげる女性が見下され、批判される」という構造を提示しています。
今回の三重県の取り組みは「始まり」であって、より広範な公共空間・制度として生理用品のアクセスを保障するかどうかが、真の評価ポイントです。行政・議会・市民が目的を共有し、継続と拡大を図る協力が求められます。