2025-08-12 コメント投稿する ▼
ミャンマーのレアアース採掘と中国依存の危機 山田吉彦議員が海底資源開発を提言
ミャンマーのレアアース事情と日本の海底資源戦略
国民民主党の山田吉彦参議院議員が、自身のX(旧Twitter)でミャンマーのレアアース採掘を巡る現状と日本の対応について言及しました。
ミャンマーは、中国、米国に次ぐ世界3位のレアアース輸出国。しかし、ミャンマーのレアアース採取地は、ほぼ全域が少数民族武装組織カチン独立軍の支配地にある。そして、中国資本により採取され、中国に運び出される。国家の管理も関係ない杜撰な採掘環境だと言われている。経済安全保障の観点から、日本は海底からレアアースの採掘を進めるべきだ。
山田議員の指摘によると、ミャンマーは世界第3位のレアアース輸出国でありながら、主要な採掘地域は少数民族武装組織「カチン独立軍(KIA)」の支配下にあります。この地域では、中国企業の資本によって資源が採掘され、そのまま中国本土へと運び出されているのが実情です。国家による監督はほとんどなく、環境保護や安全基準も欠如しているとされます。
世界市場でのミャンマーの位置付け
国際統計によると、ミャンマーは2024年時点で年間約3万トンのレアアースを輸出しており、中国・米国に次ぐ規模を誇ります。特に重希土類の産出量が多く、近年急速に存在感を高めてきました。しかし、この供給は政治的にも治安面でも極めて不安定です。カチン州やシャン州などでは、武装組織が採掘権や輸送ルートを掌握し、中国側と取引する構造が固定化されています。
環境破壊と人道問題
現地で行われているレアアース採掘は、山肌を削り取る露天掘りや化学薬品を大量に使用する方式が中心で、川や地下水の汚染、農地の荒廃、住民の健康被害など深刻な影響が報告されています。採掘地周辺では呼吸器疾患や皮膚疾患、腎臓障害などの発症例が増えており、国際的な人権団体や環境保護団体が警鐘を鳴らしています。
中国依存と供給網リスク
ミャンマーから採れたレアアースの多くは中国南部の加工施設に送られ、世界市場に再輸出されます。このため、最終的には中国が供給網をコントロールしている状況です。米中対立が激化する中で、中国が輸出規制などの“資源カード”を切れば、日本を含む各国の産業に大きな影響が及ぶことは避けられません。
日本の海底資源開発の動き
こうした国際情勢を背景に、山田議員は「日本は海底からのレアアース採掘を進めるべき」と提案しています。政府はすでに南鳥島沖の深海に広がる「レアアース泥」の商業利用に向けた動きを加速させており、2026年初頭には世界初の本格的な試験採掘が予定されています。この海域には数百年分に相当する希少元素が埋蔵されているとされ、日本の経済安全保障に直結する国家的資源です。
経済安全保障の要
レアアースはハイテク製品、電気自動車、再生可能エネルギー設備、軍事用途など幅広い分野で不可欠な素材です。その安定確保は、単なる産業政策を超え、国家の安全保障戦略の一部といえます。ミャンマー情勢の不安定さ、中国依存の危うさを踏まえれば、日本が自らのEEZ内での採掘に本腰を入れるのは必然といえるでしょう。
海底採掘には技術的・環境的課題も伴います。深海生態系への影響や採掘コスト、国際海洋法上の規制など、乗り越えるべき壁は多くあります。それでも、国際的な資源争奪戦が激化する中で、日本が主体的に資源確保の道を拓くことは急務です。山田議員の提言は、その議論を加速させる契機となりそうです。