2025-05-21 コメント投稿する ▼
教員の働き方改革が加速:給特法改正と35人学級で教育現場の再生を目指す
教員の働き方改革が本格始動
学校現場の過重労働が深刻化するなか、教員給与特別措置法(いわゆる給特法)の改正案が5月21日、参議院本会議での審議に入った。この改正案は、公立学校に勤務する教員の処遇改善や業務負担の軽減を目的としたもので、教育現場の切実な声を背景に進められている。公明党の佐々木さやか議員は、本会議での質疑に立ち、「子どもと向き合う時間を確保するには、教員の働く環境の抜本的な見直しが必要だ」と訴えた。
35人学級や教科担任制も推進
今回の法改正では、教員の時間外労働に対する手当である「教職調整額」を段階的に引き上げる方針が明示されており、最終的には現在の4%から10%への引き上げを目指す。また、中学校における35人学級の導入や、小学校での教科担任制拡充といった、教員一人ひとりの負担を軽減するための取り組みも盛り込まれた。これらは、2025年度の予算にすでに反映されており、政府と与党の間で合意されている内容だ。
現場の悲鳴:教員のメンタルヘルス不調と離職
佐々木議員は質疑の中で、「教員が心身ともに疲弊し、休職や離職が相次いでいる。これでは教育の質も保てない」と現場の切迫感を訴えた。文部科学省の調査では、精神的な不調を理由に休職した教員の数は年々増加しており、特に若手教員の間でその傾向が顕著だ。子どもたちと向き合う余裕を失った教員たちが、板挟みになって苦しんでいる状況が浮き彫りとなっている。
相談窓口の整備と外部専門家の活用
佐々木氏はまた、勤務状況や精神的な悩みについて教員が相談できる体制の強化を強く求めた。具体的には、各学校や自治体に相談窓口を設置し、心理士や弁護士など外部の専門家によるサポートを受けられる仕組みの構築が必要だと提案。これに対して、阿部俊子文部科学大臣も「必要な支援に取り組む」と前向きな姿勢を示した。
改革の実効性が問われる今後
石破茂首相は質疑に対し、「教員が安心して働ける環境を整えるため、徹底した改革を推進する」と述べ、政府としても学校現場の課題に真剣に向き合う姿勢を強調した。ただし、制度改正が実際に効果を上げるには、各自治体の現場レベルでの運用が鍵を握る。単なる法改正にとどまらず、現場の声を反映した柔軟な対応が今後の成否を左右することになるだろう。