2026-03-03 コメント投稿する ▼
政府がペルシャ湾への新規進入控えるよう注意喚起、木原官房長官が表明
木原稔内閣官房長官は2026年3月3日の記者会見で、ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことを受け、国土交通省から日本船主協会に対し、船舶は新たにペルシャ湾に入らず、湾内にいる場合は安全な場所で停泊するよう注意喚起したと明らかにしました。
政府がペルシャ湾への新規進入を控えるよう注意喚起
木原官房長官、国交省が日本船主協会に指示と表明
木原稔内閣官房長官は2026年3月3日の記者会見で、ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことを受け、国土交通省から日本船主協会に対し、船舶は新たにペルシャ湾に入らず、湾内にいる場合は安全な場所で停泊するよう注意喚起したと明らかにしました。アメリカとイスラエルによる2月28日のイラン攻撃開始以降、中東情勢が緊迫化する中、日本政府は船舶の安全確保を最優先する方針を鮮明にしています。
ペルシャ湾内に日本関係船舶43隻が待機
日本政府は3月2日、ペルシャ湾に1日時点で43隻の日本関係の船舶が待機していると明らかにしました。2日に自民党本部で開かれた会合で説明したもので、同党の高木啓外交部会長が会合後、記者団の取材に語りました。
政府の説明によると、船舶には23人の日本人が乗船しています。安否は確認できており、安全な海域で待機しているということです。米軍とイスラエル軍による攻撃を受けて、イランはペルシャ湾への入り口に位置するホルムズ海峡を事実上封鎖しました。
ペルシャ湾は長さ約800キロメートル、最大幅約300キロメートル、平均水深は約40メートルで比較的浅いですが、最大水深は湾口のホルムズ海峡付近で約170メートルです。湾岸諸国8カ国のうちオマーンを除く7カ国は全てペルシャ湾を石油ロードとしており、世界経済における同湾の価値はすこぶる高いです。
国土交通省が日本船主協会に注意喚起
木原官房長官は3日の記者会見で、国土交通省から日本船主協会に船舶は新たにペルシャ湾に入らず、湾内にいる場合は安全な場所で停泊するよう注意喚起したと明らかにしました。
日本船主協会は1947年6月に設立された100総トン以上の船舶の所有者、賃借人ならびに運航業者で日本国籍を有する者を会員とする業界団体です。2020年6月1日現在127社で構成されており、公共の福祉のために海運業に関する諸般の調査および研究を行い、海運業の公正かつ自由な事業活動を促進し、日本海運の健全な発展に資することを目的とする団体です。
海運業に関する諸般の調査、研究および広報、海運業に関する統計の作成ならびに資料および情報の収集、海運業に関し政府、議会、その他に対する意見の開陳などの活動を行っています。2005年ごろから海賊・テロ対策が重要な課題となっています。
国土交通省は海事行政を所管する官庁として、日本船主協会と密接に連携しながら、日本の船舶の安全確保に全力を挙げています。
「ペルシャ湾に入らないようにとの注意喚起は当然だ」
「日本人船員23人の安全が何より大事」
「早く事態が収束してほしい」
「海運会社の判断も適切だと思う」
「原油輸送が滞ると日本経済に深刻な影響が出る」
イラン革命防衛隊が通過禁止を放送
イラン革命防衛隊は船舶向け無線でホルムズ海峡の全船舶通過禁止を放送しました。EU海軍が受信を確認したほか、英国海事貿易運用センターも複数の船舶から同様の報告を受けたと発表しました。世界の石油輸送の2割が通過する同海峡が事実上の封鎖状態に陥っています。
イラン革命防衛隊は「いかなる船舶もホルムズ海峡の通過は認められない」と繰り返し放送しました。イラン政府としての公式な閉鎖宣言は出ていませんが、英国海事貿易運用センターは「法的拘束力はない」と注記しつつ、軍事活動の激化に注意するようアドバイザリーを発行しました。
国際法上、ホルムズ海峡はどの国も一方的に封鎖できない国際海峡です。国連海洋法条約では、公海部分のない海峡で国際航行に使用される国際海峡は一種の公共財で、自由航行に近い通過通航が認められています。航行及び上空飛行の自由が継続的かつ迅速な通過のためなら認められています。
しかし、ホルムズ海峡の場合、沿岸国であるイランとオマーンは領海内の無害通航を主張して国際海峡の通過通航権を認めておらず、外国艦船の通航には事前通告・許可を求めています。オマーンは海洋法条約の締約国ですが、イランは非締約国であり、無害通航にも船舶の種類や積荷を理由として無害性を否定するなどより厳しい制約を課しています。
各国政府も回避を勧告
米国政府もペルシャ湾全域で自国船舶にイラン領海からの離隔を求め、ギリシャ海運省は自国船にペルシャ湾・オマーン湾・ホルムズ海峡の完全回避を緊急勧告しました。
日本の海運大手3社である商船三井、日本郵船、川崎汽船も3月1日までにホルムズ海峡の航行停止を決定しています。商船三井はホルムズ海峡をつなぐペルシャ湾内において、同社が管理するLNG船や原油タンカーなど10隻ほどが常時航行しているとみられます。
日本郵船も平時は同湾内にLNG船や自動車運搬船などを航行させています。川崎汽船もペルシャ湾内に複数の船が航行していましたが、安全な海域での待機を指示しました。各社とも「船員、貨物、船舶の安全を最優先に24時間体制で監視を強化している」としています。
日本の海運業への影響
日本は貿易量の99.6パーセントを海運で運んでいます。海運は日常生活で目にすることが少ないですが、実は私たちの生活と深い縁があります。
船が運ぶのは、私たちの暮らしに欠かせないものばかりです。肉、果物、野菜、魚介類など温度や鮮度を保つ必要がある貨物、ワイン、ジュース、食用油などの液体、穀物、鉄鉱石、石炭、自動車、石灰石など多岐にわたります。
特に原油とLNGの輸送においてホルムズ海峡は決定的に重要な役割を果たしています。日本は輸入する原油の9割超をサウジアラビアやアラブ首長国連邦といった中東地域に依存しており、多くがホルムズ海峡を通過し約20から25日かけて運ばれています。
ホルムズ海峡の封鎖状態が長期化すれば、原油価格高騰に伴いガソリン価格や物流コストなどが上昇して日本でもインフレが加速する恐れがあります。
過去にもタンカー攻撃事件
2019年6月13日には、ホルムズ海峡近くのオマーン湾でタンカー2隻が攻撃を受ける事件が発生しました。このうち1隻は国華産業が運航するケミカルタンカーで、複数回の攻撃を受けました。乗組員はいずれもフィリピン国籍で全員避難しましたが、1人は軽傷を負いました。
この事件を受けて、日本政府は2019年10月18日、中東情勢の安定と日本に関係する船舶の安全確保を理由に、対策を強化しました。
今回の事態は2019年以来の深刻な危機となっており、日本政府は邦人保護と船舶の安全確保、そして石油供給の安定確保に全力を挙げています。木原官房長官は引き続き中東情勢を注視しながら、適切な対応を取っていく方針を示しています。