2025-05-16 コメント投稿する ▼
公益通報者保護法改正で内部告発者を守るべき理由とは?大門議員が消費者庁に指導求める
公益通報者保護法改正をめぐる議論 大門議員が訴え
参議院消費者問題特別委員会で16日、日本共産党の大門実紀史議員は、公益通報者保護法の改正案を巡り、地方自治体の内部告発者保護の不十分さを強調し、消費者庁に対して適切な指導を求めた。
大門議員が指摘したのは、兵庫県の斎藤元彦知事の対応だ。斎藤知事は、自身のパワハラを外部通報した職員について「保護は内部通報に限られる」と主張し、懲戒処分を正当化。しかし、これは公益通報者保護法の正しい解釈とは異なるとされる。
大門氏は「消費者庁が法解釈を伝えても、斎藤知事は依然として誤った主張を繰り返している」と強調。これに対し、伊東良孝消費者担当相は、消費者庁が兵庫県に正しい法解釈を伝えたと述べたが、大門議員は「知事の姿勢は変わっていない」と反論した。
公益通報者保護法の現状と課題
公益通報者保護法は、企業や行政機関内での法令違反を告発した者を保護する法律だ。しかし現行法では、地方自治体の職員が不正を告発しても、保護が十分に行き届かない事例が後を絶たない。大門議員は、こうした自治体職員が懲戒処分や訴訟に直面する事例を「氷山の一角」と表現し、制度の見直しを求めた。
特に問題となるのは、内部告発者が証拠資料を持ち出した際、それが窃盗や横領とみなされるリスクがあることだ。大門氏は、この資料持ち出し行為を通報者保護のために免責する規定を設けるべきだと主張した。
消費者庁の役割と自治体への指導
現行の公益通報者保護法では、消費者庁は地方自治体に対して指導や勧告を行う権限が明確に定められていない。このため、自治体ごとの対応がばらつき、告発者の保護が不十分なままになっている。
大門議員は、消費者庁が作成した地方公共団体向けガイドラインを引用し、「通報事案への適切な対応を確保するため、各自治体に助言や協力を行う」と明記されていることを指摘。消費者庁に対し、地方自治体への強力な指導を行うよう求めた。
今後の焦点は自治体職員の保護強化
大門議員の主張は、地方自治体での内部告発者保護をどう強化するかという問題を浮き彫りにしている。特に、証拠資料の持ち出しが犯罪として扱われるリスクを軽減し、告発者が安心して通報できる環境を整備することが求められている。
公益通報者保護法の改正に向けた議論は、今後も続く見込みだ。消費者庁がどのように対応し、自治体職員が安全に不正を告発できる体制が整備されるか、引き続き注目される。