2025-08-05 コメント投稿する ▼
徳永エリ議員、参院予算委で日米交渉の齟齬を追及 「自動車産業は経済の屋台骨」
参院予算委
徳永エリ議員、トランプ関税と日米交渉の齟齬を追及 「日本経済の屋台骨が揺らぐ」
8月5日に開かれた参議院予算委員会の集中審議「米国の関税措置等内外の諸課題」で、立憲民主党の徳永エリ議員が質問に立ち、日米通商交渉の進め方やトランプ前米大統領による追加関税への政府対応を厳しく追及した。徳永議員は、米国による自動車・部品への追加関税が日本経済に及ぼす影響を「経済の屋台骨が揺らぐ」と表現し、赤澤大臣や石破総理に対し迅速かつ確実な対応を求めた。
頻繁な訪米の理由を追及
徳永議員はまず、赤澤大臣が「3カ月で8度」という異例のペースで訪米している事実に注目。「今日の夕方からまた訪米。2週間もたっていない状況で再訪米する。何のために訪米を重ねるのか」と質問した。これに対し赤澤大臣は「具体的な合意文書がない中で、自動車に関する大統領令の発出を促すことが目的」と説明した。
しかし徳永議員は、発令済みの大統領令の付属書に日本の記述がなく、役所が大混乱した事実を指摘。「齟齬があると分かった。口約束だけで本当に大丈夫なのか。発令までに残り2日、間に合うのか」と詰め寄った。赤澤大臣は「EUと同じ扱いになる確約を得ている」と答弁したが、徳永議員は「それでも不安は拭えない」と食い下がった。
2020年日米貿易協定の履行不備を批判
徳永議員はさらに、2020年の日米貿易協定についても言及。「日本は口約束でも誠実に履行してきたが、米国は約束を守らなかった。241品目の関税撤廃を約束しながら、追加関税を課してきた。これは協定違反だ」と指摘した。これに対し石破総理は「重大な懸念を持っている。日米双方の利益を最大化する合意の実現を目指す」と答えるにとどまった。
徳永議員は「日本が一方的に譲歩する構図が続けば、信頼関係は崩れる。今回の交渉は、必ず合意内容を明文化し、履行を担保する仕組みを組み込むべきだ」と訴えた。
コメ輸入枠拡大への懸念
農業分野にも話題を移し、徳永議員は「輸入枠77万トンを維持し、コメは聖域として守るとこれまで言ってきたはず。江藤前農水大臣も譲る気はないと明言していた。それが今回、交渉カードとしてコメが切られた」と批判。特にSBS(売買同時入札)方式での10万トン枠について、「閣議了解があれば拡大できるのではないか」と追及した。
小泉農水大臣は「可能とできるかは別問題。やるとは考えていない」と答弁したが、徳永議員は「農業者の信頼を裏切ることになりかねない」と強い懸念を表明した。
自動車産業への危機感
質疑の中で徳永議員は、自動車産業が日本経済に果たす役割を強調。「自動車関連産業は国内雇用や地域経済の柱。ここに追加関税がかかれば、日本経済全体が揺らぐ」と訴えた。赤澤大臣も「わが国経済に大変なダメージが生じている」と認めたが、「相手のあることなので一刻も早くとしか言いようがない」と言葉を濁した。
「自動車は日本経済の屋台骨。ここを守れなければ国全体が沈む」
「齟齬を残したままの口約束外交は危険」
「農業と製造業、どちらも守る交渉戦略が必要」
「今回の交渉で明文化と履行担保を徹底すべき」
「米国に対し対等な立場で交渉できるのかが問われている」
迅速な解決と今後の交渉
徳永議員は最後に、「8月7日までに齟齬は解消され、日米合意の通りに進むのか」と重ねて確認。赤澤大臣は「そのように認識している」と答えたが、徳永議員は「その認識だけでは不十分。結果で示すべきだ」と釘を刺した。
今回の徳永議員の質疑は、日米交渉における不透明さと、日本側の交渉戦略の甘さを浮き彫りにした。秋以降の国会でも、合意の履行確保や産業保護を巡る論戦が続くことは確実だ。