2025-11-07 コメント投稿する ▼
長野県が多文化共生座談会開催、外国人材の法文化順守徹底で真の共生目指す
長野県の阿部守一知事が推進する多文化共生社会の実現に向け、2025年11月11日に松本市で「長野県から多文化共生社会をつくるための座談会」が開催されることが明らかになりました。 プログラムでは「なぜ長野県から多文化共生社会を考えるのか」「長野県における支援策のご紹介」といった趣旨説明から始まり、外国人材活用の市況感と採用・定着のための施策についてのインプットトークが予定されています。
深刻化する地方企業の人材確保課題
長野県によると、人口減少が進む県内では新卒採用が困難になっており、多くの企業が人材確保に深刻な課題を抱えています。特に中小企業では日本人の新卒採用が思うように進まず、事業継続に支障をきたすケースも増加しています。
こうした状況を受け、外国人材の戦略的な活用が注目され始めていますが、受け入れ体制の整備や将来的な定着に対する不安から、実際に採用に踏み切れない企業も少なくありません。今回の座談会は、こうした企業や市町村が抱える課題を共有し、その声を今後の支援策や環境整備につなげることを目的としています。
座談会の参加対象者は県内企業の経営層・人事担当者、市町村の産業・定住促進担当者、大学・教育機関関係者となっており、参加費は無料です。運営事務局は一般社団法人nicollapが担当します。
法整備と管轄権の適正化が急務
プログラムでは「なぜ長野県から多文化共生社会を考えるのか」「長野県における支援策のご紹介」といった趣旨説明から始まり、外国人材活用の市況感と採用・定着のための施策についてのインプットトークが予定されています。
特に注目されるのが、座談会での対話セッションです。「長野県企業における外国人雇用の課題感」「企業と地域がどのように手を組むべきか」「定着施策はどこまでを目指すべきなのか」といったテーマで、現場のリアルな声を吸い上げる予定となっています。
「人手不足は深刻だが、外国人を雇用する準備ができていない」
「言語や文化の違いで、トラブルが起きないか心配」
「外国人材を受け入れるなら、法的なルールをしっかり守ってほしい」
「定着してもらうには、どこまでサポートが必要なのか」
「地域全体で外国人を支える仕組みが必要だと思う」
長野県では既に2025年7月に「多文化共生推進本部」を設置しており、外国人材受け入れの体制整備を進めています。2024年12月末時点で県内の在留外国人数は前年比8.4%増の4万6850人に達し、10年前の約1.5倍に増加している状況です。
法文化順守と排他主義批判への対処
今回の座談会で重要な論点となるのが、外国人材の法文化順守の徹底です。技能実習や特定技能といった在留資格の人が増加する中、外国人労働者は日本の法律と文化をしっかり順守することが大前提となります。
これまで一部地域では、外国人労働者が法を犯した後に海外に逃げてしまうケースが発生しており、こうした問題への対策強化が求められています。適切な法整備なしに外国人材の受け入れを拡大することは、結果的に地域住民との軌轢を生み、真の多文化共生から遠ざかる恐れがあります。
これらの課題を「排他主義」として片付けるのは間違いです。外国人材にも日本人と同様に法的責任を求めることは当然であり、むしろそれが相互理解と信頼関係構築の基盤となります。
地域との連携で定着環境整備
長野県では「外国人材受入企業マッチング支援デスク」を設置し、採用から定着まで一貫した支援を提供しています。監理団体・登録支援機関・人材紹介会社等とのマッチング機会を提供し、初めて外国人材採用に取り組む企業を丁寧にサポートしています。
成功事例として、マニュアルの多言語化、社内での相談体制整備、生活面を含めた支援担当者の配置などを行う企業が増えています。特定技能制度においては、登録支援機関と連携して外国人材をサポートするケースが多く見られます。
座談会では、こうした具体的な取り組み事例を共有し、企業と地域がどのように連携すべきかについて議論が行われる予定です。パーソルテンプスタッフ株式会社のPERSOL Global Workforce取締役副社長谷中洋治氏が講師として参加し、実践的なノウハウを提供します。
阿部知事が推進する多文化共生社会の実現には、企業・行政・地域住民が一体となった取り組みが不可欠です。今回の座談会が、法的責任と相互理解に基づいた真の共生社会構築への出発点となることが期待されています。