2025-05-12 コメント投稿する ▼
長崎「被爆体験者」救済問題再燃 広島「黒い雨」訴訟に学び、仁比議員が国に支援を強く要求
長崎「被爆体験者」救済を求める声が再び
日本共産党の仁比聡平議員は、12日の参議院決算委員会で、長崎の「被爆体験者」とされる人々への救済を強く訴えた。彼は、国が被爆地域として指定していない場所で被ばくし、健康被害に苦しむ人々が支援を受けられない現状に疑問を投げかけた。仁比議員は、こうした被爆体験者全員が救済を受けられるよう、被爆者援護法に基づく支援を求めた。
長崎では、原爆投下時に周辺地域へ放射性降下物が降り注いだ。しかし、国が指定する「被爆地域」には含まれていないため、健康被害を訴える人々も「被爆者」として認定されず、被爆者健康手帳の交付も受けられない状況が続いている。仁比議員は、旧戸石村や旧田結村、江ノ浦村(現諫早市)といった地域で放射性降下物が確認されているにもかかわらず、これらの地域が被爆指定から外されていることを問題視した。さらに彼は、住民たちの証言を紹介し、落ちてきた燃えカスを触った手が黒くなり、その後に肝臓の悪化や歯茎の出血、皮膚がんといった健康被害に苦しんでいる実態を強調した。
仁比議員は、広島での「黒い雨」訴訟が2021年の広島高裁判決で原告の健康被害を認め、放射性降下物による被ばくも被爆者として認定されたことに言及。広島ではその後、2022年から被爆者援護法の新基準が適用され、対象者には被爆者健康手帳が交付されている。一方で、長崎の「被爆体験者」たちは同様の支援を受けられず、被爆地でありながら支援から取り残されている現状に直面している。
厚生労働省の福岡資麿大臣は、この問題に対して、「放射性降下物の存在は確認されているが、残留放射能が健康に影響を与えることは証明されていない」と説明し、長崎の被爆体験者に対する支援を否定する姿勢を示した。しかし、仁比議員は、実際に健康被害に苦しんでいる人々の証言や医療記録を示しながら、支援の必要性を訴え続けた。
長崎の「被爆体験者」たちは、高齢化が進み、健康状態の悪化に苦しむ人が増えている。彼らは、自らの経験と健康被害を語りながら、「被爆者」としての認定を求めている。医療費の助成や生活支援が必要であり、仁比議員はそのための救済措置が不可欠であると主張した。広島の「黒い雨」訴訟が実現した救済を、長崎にも適用すべきだという声は日増しに強まっている。
今後、長崎の被爆体験者を巡る議論はさらに続くだろう。国は、被爆地域の指定を見直し、支援の枠組みを広げる必要がある。被爆体験者たちの声を無視することなく、その尊厳と健康を守るための政策が求められている。彼らの苦しみを軽視することは、被爆国である日本の歴史的責任にもかかわる問題だ。