2025-04-23 コメント投稿する ▼
刑事デジタル法案、参院で審議入り 仁比氏が人権侵害と“人質司法”の是正を訴え
刑事デジタル法案、参院で審議入り
2025年4月23日、参議院本会議において、刑事訴訟法等の一部を改正する「刑事デジタル法案」が審議入りした。この法案は、情報通信技術の進展に対応し、刑事手続きのデジタル化を図るものである。日本共産党の仁比聡平議員は、法案の問題点を指摘し、捜査機関の権限拡大によるプライバシー侵害の懸念を表明した。
仁比議員、プライバシー侵害と人権侵害を懸念
仁比議員は、電磁的記録提供命令の創設により、プロバイダーなどの通信事業者が利用者の個人情報を提供せざるを得なくなると指摘。これにより、本人が知らない間に犯罪とは無関係な人々との関係性や、企業の営業情報などが警察や検察に収集・分析・蓄積される恐れがあると述べた。また、憲法35条が捜査・押収には具体的な場所や物品が特定された令状を必要としていることを踏まえ、電子データの特定が困難であると追及した。
過去の事例を挙げ、捜査手法の見直しを要求
仁比議員は、大川原化工機事件や岐阜県警による住民運動の監視事例を挙げ、捜査機関による不適切な捜査手法が取り返しのつかない人権侵害を引き起こす可能性を指摘。これらの事例を踏まえ、全面的な証拠開示、全事件・全過程の取り調べの可視化、取り調べへの弁護人立ち会い、オンライン接見の実現、再審法の抜本的改正を強く求めた。
法務大臣、裁判官の判断で対応と答弁
鈴木馨祐法務大臣は、裁判官が個別の事案ごとに事件との関連性が認められる範囲で、提供させるべき電子的記録をできる限り特定するなどと答弁。しかし、仁比議員は、裁判官が捜査機関の一方的な資料だけを見て行う令状審査では、電子データの特定は不可能であると再度追及した。
法案の今後の審議に注目
刑事デジタル法案は、捜査機関の権限拡大と国民のプライバシー保護のバランスが問われる重要な法案である。今後の国会審議において、各党の議論や修正案の提出などが予想され、国民の権利保護と捜査の適正化を両立させるための議論が求められる。
- 2025年4月23日、参議院本会議で刑事デジタル法案が審議入り。
- 仁比聡平議員が、法案によるプライバシー侵害の懸念を表明。
- 過去の捜査手法の問題事例を挙げ、刑事司法の抜本的改革を要求。
- 法務大臣は、裁判官の判断で対応可能と答弁。
- 今後の国会審議で、国民の権利保護と捜査の適正化の両立が課題。