2025-06-13 コメント投稿する ▼
国際保健支援で問われる日本の本気度──減税と外交の両立は可能か
国際保健の推進に日本の覚悟が問われるとき
2030年までにエイズ・結核・マラリアの終息をめざす国際的な取り組みが、いま重大な岐路に立たされている。13日、参院議員会館で開かれた集会で、公明党の谷合正明参院会長は「日本が国際保健の先導役となるべきだ」と語った。背景には、アメリカの支援縮小による国際的な空白がある。
集会はアフリカ日本協議会が主催し、国際NGOや医療支援団体、研究者が多数参加。現場からの報告に交え、国際社会の対応が問われる中、日本の果たすべき役割があらためて浮き彫りとなった。
アメリカの支援縮小で広がる懸念
谷合氏が名指しで批判したのは、トランプ政権下でのUSAID(アメリカ国際開発局)による資金拠出の凍結だ。これにより、エイズ・結核・マラリアといった三大感染症に対する国際支援が大きく減速。現場では医薬品の供給不足や人員の削減が相次ぎ、アフリカ諸国を中心に深刻な影響が出ている。
「アメリカが後退している今、日本が本気を見せる時じゃないか」
「外交は金だけじゃない。日本には真の支援をする覚悟が問われている」
こうした声がSNSでも多く見られた。単なる人道支援にとどまらず、外交上の信頼構築の面でも、支援継続は極めて重要な意味を持つ。
「人間の安全保障」を掲げた日本の立場
谷合氏は「人間の安全保障という考え方が今ほど求められている時代はない」と述べた。感染症は単に医療の問題にとどまらず、国家の安定、社会の持続性、人々の暮らしの根幹に関わる。「国際協調や多国間主義が脅かされている」中、日本が支援の柱として機能することが世界からも期待されている。
しかし、そこで気になるのは、支援が一方的な「配り物」になっていないかということだ。ODA(政府開発援助)をはじめ、日本は長年にわたり膨大な資金を投入してきたが、成果が見えにくいケースも少なくない。
「ODAって結局は票集めと企業支援でしょ。減税して国内に回してほしい」
「支援はいいけど、その裏で何が起きているのかちゃんと検証すべき」
といった疑問の声も根強い。真に必要なのは、持続可能で透明性のある支援体制の構築だ。
減税と外交のバランスが求められる
感染症対策の支援は否定されるべきものではない。だが同時に、国内の経済負担に苦しむ国民が存在することも忘れてはならない。給付金や補助金でのバラマキに終始するのではなく、減税というかたちで国内経済を底上げしつつ、国際貢献とバランスを取るのが、本来あるべき政策の姿だ。
政府が掲げる「人への投資」を本当に実現するのであれば、まずは国民の可処分所得を高め、安定した経済基盤を築くことが先決だ。そうしてこそ、国際的な支援にも説得力が生まれる。
「給付より減税が先。日本国民の体力がなければ海外支援なんて続かない」
「感染症対策は当然だけど、まず自国経済を立て直してからやってくれ」
谷合氏の発言が示すように、日本は国際保健のリーダーシップをとる立場にある。しかしその責任を果たすには、外交だけでなく、内政においても筋の通った政策を示すことが欠かせない。
信頼される国際貢献のために必要なこと
感染症との戦いに終わりは見えない。それでも支援を止めることはできない。だがその前提として、日本政府は国民に対し「どこに、なぜ、どれだけの税金を使うのか」を丁寧に説明する必要がある。
また、外部支援と国内政策の切り分けではなく、「自国を強くしてから国際支援」という流れをしっかりと構築すべきだ。国の体力が尽きれば、支援の継続は不可能になる。
政治家の「良いことを言った」で終わらせてはならない。実行と説明、そして国内外への責任を果たしてこそ、真のリーダーシップが問われる。
「本当に国際貢献したいなら、まず国内を立て直せ」
「日本の支援は中身と実効性を見直すべき時期にきている」
日本が世界で信頼されるパートナーとして存在感を保ち続けるためには、今こそ地に足のついた政策転換が求められている。