2025-05-29 コメント投稿する ▼
政府の任命拒否と解釈変更に市民が反発 学術会議改組法案で問われる学問の自由
政府による任命拒否の背景と不透明な解釈変更
日本学術会議が推薦した会員候補6人を当時の菅義偉首相が任命しなかった問題は、今も解決の兆しが見えない。従来、学術会議の推薦は形式的に承認されてきたが、2020年に突如としてその慣行が覆され、6人が排除された。これに対して政府は、法解釈を見直したと説明しているが、その変更過程を記した行政文書の多くは黒塗りで公開されておらず、不透明なままである。
東京地裁は5月中旬、該当文書の全面開示を命じる判決を出したものの、政府は控訴する構えを見せており、情報開示の道は険しい。井上哲士参院議員(日本共産党)は「政府が一方的に法解釈を変えるのであれば、国会審議の意味が失われる」と厳しく批判し、黒塗り文書の開示を求めた。しかし、坂井学内閣府特命担当相は「情報公開法に基づき、開示できない」と繰り返し、法的根拠を明示しないまま説明を回避した。
学術会議の独立性が危機に直面
今回の問題は、政府が提出した日本学術会議の改組法案にも直結する。この法案では、学術会議をこれまでの「特別の機関」から「特殊法人」に変更し、政府が人事や財政面で介入できる体制が整えられる。具体的には、内閣が任命する監事の配置や、運営に関する助言委員会の設置など、政治的関与を容易にする仕組みが導入されている。
さらに現行法にある「科学者の総意のもとに設立された」という前文も削除され、学術会議の独立性を支える法的基盤が大きく揺らいでいる。これについて井上議員は「前文が削られれば、政府からの独立性が危うくなる」と警鐘を鳴らした。これに対し坂井氏は、学術会議が4月に出した声明文を根拠に「理念は維持されている」と反論したが、光石衛会長は「声明はあくまで会議の理想像を述べたものであり、政府解釈とは一致しない」ときっぱりと否定した。
法案による懸念は依然として根強い
参院での議論では、衆院を通過した段階で懸念が解消されたかどうかについても質疑が交わされた。光石会長は「懸念が完全に払拭されたとは言えない」と明言し、政府の説明では納得しきれていない現状を示した。学術会議側はたびたび「独立性が損なわれる」との声明を出しており、今回の法案が学問の自由にどう影響するか、引き続き注目されている。
ネット上でも強まる批判の声
X(旧Twitter)やFacebookなどのSNSでは、以下のような市民の声が見られる。
「これは学問への政治介入だ。科学の独立性が危ない」
「黒塗り文書を出さない理由が不透明すぎる」
「政府が選別する学術会議なんて意味がない」
「前文を削除した時点で、会議の理念が崩れてる」
「光石会長の発言の方が誠実で納得感がある」
世論の一部は、政府の不透明な姿勢と強引な法案提出に疑問を呈し、学問の自由を守るための声を上げ続けている。
開示拒否と法案強行に揺れる国会と社会
* 任命拒否をめぐる政府の解釈変更は、明確な法的根拠が示されず、いまだに黒塗り文書が残されたままである。
* 学術会議の独立性を支えてきた法的根拠が法案では削除され、政治介入を許す内容になっている。
* 会議の代表である光石会長自身が政府答弁の歪曲を否定し、懸念が払拭されていないと明言。
* 国民の間でも「学問の自由」をめぐる危機感が高まりつつある。