2025-05-13 コメント投稿する ▼
医薬品承認制度の後退で安全性懸念、改正薬機法が成立 – 規制緩和で若者への影響も
医薬品承認制度の見直しが成立、規制緩和に懸念の声
改正医薬品医療機器等法(薬機法)が14日、参議院本会議で可決され、成立した。自民党や立憲民主党などが賛成し、日本共産党やれいわ新選組は反対した。特に日本共産党の倉林明子議員は、医薬品承認の基準が緩和されることに強い懸念を示し、「患者の安全が危険にさらされる可能性がある」と警告した。
臨床試験削除で安全性に懸念
倉林議員は、医薬品の承認要件から「臨床試験の試験成績」を求める条文が削除された点を問題視した。これまで、薬事承認制度は臨床試験によって安全性と有効性を確認することが基本だった。しかし、この変更により、エビデンス(証拠)の確保が不十分なまま新薬が承認され、市場に流通するリスクがあると指摘した。
福岡資麿厚生労働大臣は「具体的なデータの要求は、個別の承認審査の中で判断する」と述べたが、この説明では安全性確保に対する懸念は払拭されなかった。
市販薬の販売規制緩和、若者への影響も
改正法は、市販薬の販売規制も緩和する。これまでは対面販売が義務付けられていた「要指導医薬品」が、オンラインでの服薬指導を受けることでインターネットで購入可能となる。また、条件を満たせば薬剤師がいないコンビニでも一部の市販薬が販売できるようになる。
倉林議員は、特に若者に多いオーバードーズ(過量服薬)の問題に言及し、規制緩和が薬物の乱用を助長する恐れがあると指摘。実際、風邪薬や鎮痛剤の乱用は若年層で社会問題化しており、安易な入手が深刻な結果を招きかねない。
今後の課題と議論の行方
今回の法改正には、医薬品の安定供給や創薬環境の向上を目指すという意図も含まれている。しかし、厳密なエビデンスに基づかない新薬の承認が患者の安全を脅かす危険性も指摘されている。
倉林議員は、政府が医薬品の安全性確保に向けた具体的な対策を示すべきだと主張し、法施行後も監視と見直しが必要であると訴えた。
改正薬機法は今後、段階的に施行される予定だが、その影響と実効性については引き続き議論が求められる。