2025-06-27 コメント投稿する ▼
泉房穂の「魅力的な政党がない」発言が波紋 兵庫選挙区で野党共闘が分裂の危機
泉房穂の“舌禍”が壊した野党共闘 参院選兵庫選挙区、無所属の強みと孤独な戦い
「今の政治には国民の生活を支える連合チームが必要だ」。
3月24日、神戸市で行われた記者会見で、元明石市長の泉房穂氏(61)は2時間にわたり情熱的に語った。参院選兵庫選挙区への出馬を表明し、掲げたのは「政党に縛られない政治」。この言葉が、思わぬ波紋を広げることになる。
泉氏は記者の質問に答える形で、「魅力的な政党がない」と述べた。これは、政党の枠にとらわれない姿勢を示したものだったが、国民民主党の玉木雄一郎代表はこの発言を問題視。「公党に対する敬意を欠いた」とXで批判し、泉氏の支援を撤回した。
本来、泉氏を支援する予定だった立憲民主党県連と国民民主党県連、そしてその支持母体である連合兵庫は、泉支援の是非をめぐり揺れ動いた。結果として、連合兵庫は「苦渋の決断」として泉氏と国民民主が擁立した多田ひとみ氏の“ダブル推薦”に踏み切るという異例の対応を取ることになった。
「正直、泉さんの言いたいことはわかる。でもタイミングが最悪だった」
「政党に期待できないという本音を代弁してくれてるのが泉氏だと思う」
「連合が割れたのは痛い。共倒れしそうで不安」
「党に縛られない強さが泉さんの魅力だけど、それが敵をも生んでしまう」
「発言が話題になるのは、それだけ注目されてる証拠では」
「無所属のリアリズム」と「発信力」への期待
泉氏が注目を集める理由のひとつは、その行政実績にある。明石市長時代、子育て支援や教育、福祉分野で積極的な施策を打ち出し、実際に市の人口増を実現させた。メディア露出も多く、知名度と発信力では他の候補を大きくリードする。
だが、泉氏の掲げる「無所属であること」は、野党共闘という枠組みの中では扱いが難しい。支持政党を持たない有権者からの支持を集めやすい一方で、政党間の協力体制には軋轢を生むからだ。
連合兵庫の内部でも評価は割れている。「無党派層への浸透力は抜群。比例票の上積みにもなる」と期待する声がある一方、「一体どちらを本命とするのか」と困惑する現場の組合員の声もある。
泉氏は会見で「大同団結の象徴として戦いたい」と語ったが、野党がそろって“象徴”を担ぐ体制を築くには至っていない。
「個人の力」で切り拓く戦いに 野党分裂がもたらす孤独
今回の兵庫選挙区は改選数3に対して13人が立候補を予定しており、全国有数の激戦区となっている。政党に属さず選挙を戦う泉氏にとって、有権者の記憶に強烈な印象を残せるかどうかが最大のカギとなる。
ただし、野党が複数の候補を立てて争うという構図が、結果的に泉氏の票を割る可能性は高い。立憲民主と国民民主の支持母体が同時に推薦を出すという“支援の重複”は、いかに泉氏が個人として支持を集めても、相乗効果を得にくい状況を生み出してしまっている。
現に国民民主は泉氏の発言後、迅速に自前候補の擁立に動き、多田ひとみ氏を立ててきた。組織選挙を得意とする国民民主と比べ、泉氏の選挙戦はボランティアや草の根型に頼る部分が大きく、特に組織票を頼みにできないぶん、メディアやSNSでの発信力が生命線となる。
「口が災い」か、それとも「本音が共感」を呼ぶか
泉氏の「魅力的な政党がない」という発言は、確かに政党関係者の立場からすれば軽率だったかもしれない。しかし、政治に不信を抱く多くの国民にとっては、「よくぞ言ってくれた」という率直な思いとして響いている。
泉氏自身もその後の発信で「誰もが政治の当事者として声をあげる社会をつくりたい」と語っており、「しがらみに縛られない政治を」という姿勢を貫いている。組織の論理や政党の都合を超えて、有権者と正面から向き合う候補としての姿勢は、多くの無党派層に届く可能性を秘めている。
今回の選挙戦は、泉氏にとって「個人の政治家」としてどこまで支持を集められるかという挑戦だ。支援団体も政党も割れる中で、彼がどれほど“一人の政治家”として信頼を勝ち取れるかが注目されている。