2025-05-27 コメント投稿する ▼
GX推進法改正が成立 原発推進と化石燃料延命に懸念 炭素価格や排出枠に課題
GX推進法改正が成立 「脱炭素」掲げつつ原発・火力延命に懸念も
脱炭素社会の実現を掲げる改正「GX(グリーントランスフォーメーション)推進法」が、5月28日の参議院本会議で可決され、成立した。自民・公明を中心に立憲民主、維新、国民民主といった主要政党が賛成し、日本共産党とれいわ新選組は反対した。法案は表向き、温室効果ガス削減を目指す政策だが、その中身をめぐっては「原発推進」と「化石燃料の延命」に対する批判が強まっている。
CO2排出量取引の制度化も「抜け穴」指摘
改正法の柱は、企業ごとのCO2排出上限(キャップ)を設定し、その枠内で排出枠を売買する「排出量取引制度(カーボンプライシング)」の導入だ。これは環境政策の手段として欧州をはじめ各国で導入が進んでいるが、今回の法案では、肝心の「総排出量の上限(キャップ)」が設定されていない。これにより、大企業が追加の排出枠を確保できる仕組みとなっており、排出削減の実効性が疑問視されている。
参院経済産業委員会では日本共産党の岩渕友議員が「産業界の要望を優先し、排出削減の本質をねじ曲げている」と指摘。再生可能エネルギー導入を遅らせ、結果として原子力と石炭火力に依存し続ける姿勢を厳しく批判した。
GX債はグリーン国債に非ず? 国際的信頼に課題
新法では、脱炭素関連事業を支援する目的で「GX経済移行債」の発行も盛り込まれている。政府はこれにより10年間で20兆円規模の投資を見込むが、資金の使途には原発再稼働や火力発電の維持費も含まれるとされ、グリーン投資を重視する海外投資家からは敬遠されかねないとの声もある。
岩渕議員は、ドイツなどが発行しているグリーン国債と異なり、日本のGX債は「国際的評価に値しない」と断じ、「真に信頼される脱炭素政策を実現するには、原発と石炭火力をきっぱりやめるべきだ」と主張した。
“1.5度目標”に届かぬ炭素価格
また、今回の法改正では、炭素の価格設定が極めて低く設定されている点も問題視されている。岩渕氏は「日本の想定炭素価格は、国際的な目標水準の10分の1程度に過ぎず、企業の排出削減インセンティブになり得ない」と強調。EUなどが高い炭素価格を設定し、排出削減を本格化させているのに対し、日本は見劣りする内容にとどまっている。
ネットの反応
SNSでは、この法案の成立をめぐって様々な意見が寄せられている。
「GXって聞こえはいいけど、中身は原発と火力を守るための政策では?」
「キャップなしで排出量取引って、結局企業に甘すぎる。」
「国際社会に通用する炭素政策を作ってほしい。日本だけ後進国になりそう。」
「脱炭素のふりをした既得権益保護法案だと思う。」
「再エネに本気でシフトしないと、子どもたちの未来が危うい。」
「脱炭素」と「現実路線」のはざまで
政府はGX推進法を「成長と脱炭素の両立を図る鍵」と位置付けているが、現時点ではそのバランスが大きく「既存インフラの維持」に偏っている印象は否めない。国際的な視点でのカーボンプライシング、再生可能エネルギーの飛躍的な拡大、そして脱原発と脱石炭への道筋が、今後の日本の気候政策において問われることになるだろう。