2025-05-13 コメント投稿する ▼
下請法の罰則強化を巡る議論 岩渕議員が中小企業保護を訴え、実効性ある改正を求める
下請法の罰則強化を巡る議論 岩渕議員が問題提起
参議院経済産業委員会で、日本共産党の岩渕友議員が下請法(下請代金支払遅延等防止法)の罰則強化を求めた。岩渕氏は「現在の下請法は親事業者への指導件数は多いが、実際の勧告はわずかで、違反企業が痛みを感じない」と指摘。さらに、現行制度では違反行為に対する抑止力が十分でないとし、次の3つの改革を提案した。
* 下請法の適用範囲を拡大し、保護対象を広げること
* 下請法違反に対する刑事罰を導入し、違反行為への抑止力を高めること
* 違反企業に科される罰金の大幅増額
岩渕氏は「違反を犯しても大きな痛手を感じない企業がいる限り、中小企業は安心して取引できない」と強調。これに対し、公正取引委員会の古谷一之委員長は「勧告は企業名を公表し、迅速な原状回復を図るための手段であり、罰則強化には慎重であるべき」と述べた。
下請振興法の実態 承認計画はわずか12件
さらに岩渕氏は、下請振興法に基づく振興事業計画が実質的に機能していないことも指摘。1970年の制度開始以来、計画の承認件数はわずか12件。しかも、直近で承認された計画は32年前で、27年前にその期間が終了していることが明らかとなった。
岩渕氏はこの現状に「実質的に機能していない振興事業計画では、下請企業の支援にはつながらない」と問題視し、制度の見直しが必要だと主張した。
下請法改正の背景と今後の課題
下請法は、親事業者と下請企業との間の取引で発生する不当な取引慣行を防止するために制定された法律だが、近年の取引形態の多様化に対応しきれていない。特に、下請企業が親事業者に価格転嫁を求められない構造が続いており、これが中小企業の利益圧迫につながっている。
今回の岩渕議員の提案は、中小企業保護のための罰則強化を目指すものだが、古谷委員長の慎重姿勢からも分かるように、政府内でも意見は分かれている。今後の議論では、下請企業を守ると同時に、親事業者の取引意欲を削がないバランスが重要となるだろう。
ネット上の反応
今回の下請法に関する岩渕氏の提案に対し、ネット上では様々な意見が飛び交っている。
「罰則強化は当然。悪質な企業にはもっと厳しくしてほしい。」
「勧告だけでは効果がないのは明らか。罰金も倍増すべき。」
「中小企業は取引条件を一方的に押し付けられている現実を変えるべき。」
「公取委の『重い位置づけ』という説明には違和感。実効性がないのでは?」
「下請企業を守らなければ、日本経済全体の競争力が落ちる。」
下請法の罰則強化をめぐる議論は、今後も続く見通しだ。中小企業の保護と取引の健全化を実現するためには、単に罰則を強化するだけでなく、実効性のある監視体制と迅速な対応が求められる。さらに、企業が自主的に健全な取引を行うようなインセンティブ策も検討されるべきだろう。