2025-05-15 コメント投稿する ▼
下請法改正案が参院経産委で可決、中小企業の賃上げ支援を強化 – 大企業の責任にも言及
下請法改正案、参院経産委で可決
親事業者が下請け業者からの価格交渉に応じないことを禁止する「下請法改正案」が15日、参議院経済産業委員会で全会一致で可決された。この改正は、下請け業者の利益を守り、適正な取引環境を整えることを目的としている。多重下請け構造の問題を抱える業界にとって、大きな一歩となる見通しだ。
中小企業支援を強調する岩渕議員
この審議の中で、日本共産党の岩渕友議員は、地域の中小企業が直面する厳しい現実を訴えた。岩手県一関市の建設業者からは「材料費は上がっているのに受注単価は据え置かれたまま」「働いても生活が苦しい」といった声が上がっている。林業でも30年間単価が変わらず、価格交渉を試みると契約を打ち切られることもあるという。
岩渕議員は、こうした現状を改善するには、国が直接支援を行うことが必要だと主張。岩手県では2024年度に実施した賃上げ支援制度で、小規模事業者の7割が支援を受け、事業者からは支援継続の要望が相次いだ。これを踏まえ、岩渕氏は「地域での実績を基に、全国的な直接支援を導入すべきだ」と訴えたが、武藤容治経産相は「支援の効果を見極めたい」と慎重な姿勢を示した。
多重下請け構造と大企業の責任
さらに岩渕氏は、多重下請け構造の問題も指摘。建設や製造業など、多重構造の末端にいる中小企業は価格交渉の力が弱く、コスト増を吸収するしかない現状が続いている。そのため、最上位の発注元である大企業にも責任を問うべきだと主張した。
また、賃上げに伴う社会保険料の負担増についても言及。福島県では、最低賃金を1500円に引き上げた場合、5人の従業員を抱える事業所で年間560万円の社会保険料増加が見込まれるという。「賃上げを進めるためには、社会保険料負担の軽減も考慮すべきだ」と強調した。
大企業の自社株買いに批判
岩渕議員は、自動車大手のホンダやトヨタが過去1年で21.5兆円もの自社株買いを行ったことを批判。その原資は内部留保から来ているとし、「利益を労働者や下請け企業に還元せず、株主に回すのは問題だ」と指摘した。賃上げの原資が大企業の手元にあるにもかかわらず、下請け業者や労働者への分配が不足している現実を強調した。
ネットユーザーの反応
「下請け企業が救われるなら、もっと早くやるべきだった。」
「賃上げ支援、地方の中小企業には本当に助かる。」
「大企業の自社株買い、労働者には一円も回らないのか?」
「社会保険料の負担増で結局賃上げできないのは本末転倒だ。」
下請け企業の保護と賃上げ促進を目指す今回の改正だが、現場での実効性や大企業の姿勢が問われることになる。今後、政府が中小企業支援にどれだけ具体的な措置を講じるかが注目される。