2025-06-09 コメント: 1件 ▼
物価高克服は給付より減税を──斉藤代表講演に見る政策の限界と選挙対策
参院選の争点は「物価高克服」 斉藤代表が訴える経済対策
公明党の斉藤鉄夫代表が6月9日、福岡市で開催された「毎日・世論フォーラム」で講演し、今夏の参院選で最も重要な争点は「物価高の克服策」であると強調した。斉藤氏は、「公明党は生活を守る政策として、コメ価格対策や所得減税、さらには給付金の支給を併用する方針だ」と語り、有権者に支持を呼びかけた。
しかし、本当に今、求められる政策は「減税と給付のセット」なのだろうか。給付金のばらまき政策は一時しのぎにしかならず、抜本的な経済成長や家計支援にはつながらないという批判も少なくない。むしろ、所得税・消費税・自動車関連税などの恒常的な減税こそが、生活の実質負担を下げ、家計の可処分所得を高める正道ではないだろうか。
コメ価格高騰に対する公明党の方針と矛盾
斉藤代表は、コメ価格の高騰に関して、「備蓄米の放出や随意契約を公明党がリードしてきた」と胸を張ったが、同時に長年続いてきた「実質的な減反政策の見直し」が必要だとも指摘した。これらは一見して現実的な提案のように見えるが、構造的な問題を見逃してはならない。
農業政策が価格統制に依存してきたこと自体が、国内農業の競争力を低下させ、結果として市場に歪みを生んできたのではないか。備蓄米を放出し、価格を人為的に操作することが果たして持続可能な政策なのかという疑問は残る。
ネット上でもこの点については厳しい意見が飛び交う。
「備蓄米の放出って、つまり市場価格操作でしょ?根本的解決にはなってない」
「価格が上がるとすぐ国が何かやるから、農家も消費者も甘えが抜けない」
「転作を促すなら、まず自由な価格形成を認めてからにしてほしい」
「政策が短期目線すぎる。長期的な農業成長戦略はどこに?」
「減反の名残が残る限り、コメの問題はずっと続くと思う」
減税か給付か──中途半端な“抱き合わせ”政策の限界
斉藤氏は講演で、自動車関連諸税の簡素化・軽減や、ガソリンの暫定税率撤廃も視野に入れると述べた。さらに年末に予定されている所得税の2万〜4万円減税と並行して、税収の「上振れ」分を国民に還元する政策も実施するという。
しかし、給付という一時的な施策に依存する限り、持続可能な経済活性化は望めない。減税こそが、税の再分配をスムーズに行い、国民全体の生活基盤を底上げする本質的な施策だ。マイナポイントを通じた迅速な給付というのも利便性だけを強調しており、実質的には経済政策というより選挙対策と見る向きもある。
SNSでも給付重視に対する疑念が噴出している。
「減税でいいじゃん。給付は手続きも無駄が多すぎ」
「一度きりの数万円で物価高が克服できるなら誰も苦労しない」
「マイナポイントで給付って、それもうマイナカード推進の方便では」
「給付しても使わなきゃ意味がない。減税なら確実に家計が楽になる」
「ガソリン税は廃止して当然。道路財源?無駄な工事減らせば済む話」
「安定政権」アピールの裏で進むバラマキ政治
講演の最後に斉藤代表は、「激動の世界情勢の中、日本が信頼されるためには、自公政権が参院でも安定多数を確保する必要がある」と語った。しかし、安定政権という美名のもとに、票を得るための給付や選挙向けの一時的な支援策ばかりが繰り返されてきたことを国民は忘れていない。
給付金政策は一見耳ざわりがよく、即効性があるように見える。だがそれは、税金という国民から集めた金をまた「分配」するだけに過ぎず、国民の自立や持続的な経済発展にはつながらない。
今必要なのは、減税を通じて国民の「自由裁量」を尊重し、自助努力を促す制度設計だ。政治家の手で一時的に配られる金よりも、日常の暮らしを根底から軽くする減税のほうが、よほど効果的で健全な政策だ。
給付ではなく減税を。今こそ“財源は国民の努力に応えるためにある”という原点に立ち返るべきではないか。