2025-05-09 コメント投稿する ▼
平将明デジタル相が語る日本型DX戦略 マイナカードの安全性と地方の価値を世界に届ける構想
なぜ日本はデジタル化を進めるのか?
日本が本格的にデジタル化へと舵を切った背景には、新型コロナウイルスの感染拡大という社会的ショックがあった。マスク配布の混乱や感染者情報の集約の遅れなど、アナログ行政の限界が露呈した。
これをきっかけに、2021年9月にデジタル庁が発足。以降、マイナンバーカードの普及、行政システムのクラウド化、個人情報保護条例の標準化などに注力している。
平将明デジタル大臣は「本当に困っている人に困っているタイミングで支援を届ける。これがスマートな政府であり、デジタル化の本質」だと語る。
従来の一律給付や減税はアナログ時代の発想だった。今後はOne to Oneマーケティングのように、必要な人に必要な政策を届けるデジタル行政の実現が目標とされている。
マイナカード普及と住民サービスの進化
マイナンバーカードの普及は、デジタル庁が創設されて以降、急速に進んだ。発足前の普及率はわずか13%だったが、現在は9700万枚を突破し、保険証や運転免許証とも連携されている。
この普及によって、医療・福祉・災害対応などでの利便性が飛躍的に向上している。例えば、災害時の罹災証明書のオンライン申請が可能となり、2024年の能登半島地震では輪島市で90%以上がマイナポータルを通じて申請した。
また、医師や薬剤師が患者の情報を即座に確認できるため、緊急時にも適切な医療提供が可能になる。
個人情報の安全性は世界トップ水準
多くの国民が抱く不安が、マイナンバーカードによる個人情報の漏洩だ。これについて平大臣は「日本は世界的にも安全性が高い『セクトラル方式』を採用している」と強調する。
マイナンバーカードには名前や住所、顔写真など最低限の情報しか入っておらず、医療や税といったセンシティブな情報は別管理。しかも、省庁ごとに異なる管理番号を用いるため、万一カードが悪用されても他の情報へのアクセスは極めて困難だ。
さらに、法律上、他省庁間での情報連携は災害対応などの限られた状況下に限定されており、情報の一元管理を避けることでリスクを低減している。
すべてをデジタルにしない柔軟な戦略
日本のデジタル化がユニークなのは、すべてを機械的にオンライン化しない点にある。平大臣は「デジタル対応が苦手な人にはアナログの選択肢を残す」と明言する。
マイナ保険証の導入に伴って不安を感じる高齢者には、従来通り保険診療を受けられる「資格確認書」が郵送され、利用が保障されている。
これにより、デジタル対応可能な人が効率化された分、人的リソースをアナログ対応が必要な層に回すことができ、行政の全体的なサービス水準も向上する。
地方の価値を世界に発信 日本のDX勝ち筋とは
日本が目指すのは、欧米型とは異なる「デジタルによるアナログ価値の最大化」だ。特に地方に眠る文化・観光・食・伝統技術といった資源は、世界的に見ても魅力的だが、これまでは人手不足などで「無料」で提供されてきた。
平大臣は「これからの勝ち筋は『単価を上げる』こと。SNSなどを駆使して、地域の価値を世界市場に届けることが可能だ」と語る。
実例として、北海道・ニセコでは「早朝15分だけ早く滑れるスキーチケット」が9万円で取引された。こうした付加価値ビジネスを地方で展開することで、日本全体の経済力を底上げする戦略だ。
日本型AI戦略は“コンパクト&高効率”
AI分野でも、日本には独自の強みがあると平大臣は語る。巨大な演算能力に依存する米国型AIに対し、日本は「高効率・分散型・軽量」という方向性を目指すべきだとし、「昔のキャデラックvsシビックの構図がAIにも当てはまる」と説明する。
さらに、日本は地政学的にも安全性が高く、アジア圏の中でも拠点として選ばれやすい。政治的・経済的に安定していることが、海外企業の誘致や研究開発の推進において大きな強みとなっている。
平大臣は「日本は『世界一AIフレンドリーな国』を目指すべきだ」と述べ、日本独自の価値観を尊重したDX・AI戦略を国際社会に提案していく姿勢を示した。
ネット上の反応
「セクトラル方式って知らなかったけど、めちゃくちゃ合理的で安全なんだな」
「マイナカード嫌だったけど、能登のオンライン申請見て少し考え変わった」
「地方にある価値を世界に出すって、本当に日本の勝ち筋かも」
「平さんの説明、いつもわかりやすくて納得できる」
「全部デジタルじゃなくて選べるのが日本らしくていいと思う」
日本の強みを理解し、活かすためのデジタル政策。その中心に立つ平将明大臣の言葉からは、単なる技術導入を超えた国家戦略としてのDXの姿が浮かび上がる。