2025-04-25 コメント投稿する ▼
特定秘密不適切運用で海自幹部2人を減給処分 防衛省、処分者は計250人に拡大
自衛隊内の特定秘密管理に大規模な不適切運用
防衛省は25日、特定秘密保護法に基づく秘密情報の管理をめぐり、海上自衛隊の幹部2人を減給の懲戒処分とし、さらに112人を訓戒などの処分としたと発表した。昨年4月以降、特定秘密の不適切運用で処分された自衛隊員は延べ250人に達した。今回の発表は、特定秘密管理に関する組織的な緩みが防衛省内に深刻に存在している実態を改めて浮き彫りにした。
減給処分の対象となった海自幹部の行為
防衛省によれば、減給処分となったのは、護衛艦「いなづま」に所属していた40代の3等海佐と、大湊造修補給所(青森県)に勤務していた50代の2等海佐の2人。両者とも、特定秘密を取り扱うには必須とされる「適性評価」を受けていない隊員に秘密情報を扱わせていた。適性評価は、精神的安定性や経済状況、人間関係などを審査し、秘密情報の漏洩リスクを低減するために設けられているが、これを無視した形だ。
処分内容は、3等海佐に対して減給6分の1(2カ月)、2等海佐には減給6分の1(1カ月)とされている。2人は処分に対して不服申し立てを行っていたため、処分決定までに一定の時間がかかったとされる。
訓戒対象となった112人の管理不備
さらに112人についても、特定秘密に関する内部規定違反が認定された。主な問題点は、出向先から防衛省に復帰した隊員について、再度の適性評価を受けさせる義務を怠ったり、管理体制を見直すべきタイミングで適切な対応を取らなかったりしたことだ。これらはいずれも秘密漏洩リスクを高める行為とされ、訓戒などの内部処分が科された。
防衛省内での特定秘密管理の課題と今後の対応
防衛省は、今回の一連の処分について「組織的な教育・指導の徹底不足が背景にある」と総括している。また、再発防止に向けた新たな対策として、特定秘密取り扱いのルール再確認、管理責任者への追加研修の実施、そして適性評価プロセスの厳格化を検討している。
防衛省幹部は取材に対し、「国家の安全保障に関わる情報管理が問われている。国民の信頼を損なうことのないよう、組織全体で意識改革を進める必要がある」と述べた。一方で、防衛省内には「適性評価の煩雑さが現場負担を高め、形式的な運用になりがち」との指摘もあり、制度の柔軟な見直しも課題となっている。
- 海上自衛隊幹部2人を減給処分(3佐:減給6分の1×2カ月、2佐:減給6分の1×1カ月)
- 特定秘密を適性評価未実施の隊員に扱わせる不適切運用
- 訓戒対象112人は、適性評価未実施や管理体制不備が問題
- 昨年以降、特定秘密関連で計250人が処分
- 防衛省は再発防止へ教育・指導の徹底と制度見直し検討