2025-04-08 コメント投稿する ▼
米軍の無人偵察機トライトン、嘉手納に無期限配備へ 防衛相「抑止力強化につながる」
背景にある日本周辺の安全保障環境の変化
今回の配備の背景には、近年の日本周辺、とりわけ東シナ海や南西諸島周辺で緊張が高まっている状況がある。中国海軍の艦艇が頻繁に航行し、ロシアや北朝鮮も軍事活動を活発化させる中、日本政府はアメリカと連携し、いかにして「隙のない監視体制」を築くかを模索してきた。
トライトンは、こうした情勢の中で存在感を増す無人機だ。長時間・高高度での飛行が可能で、広範囲の海上監視任務に適しているとされる。人が乗らない分、リスクも抑えられ、しかも長距離を飛び続けられるのが大きな強みだ。
過去の配備での評価と住民への影響
トライトンは2024年にも嘉手納基地に2機が一時的に配備されたことがある。このとき、地元住民から騒音についての大きな苦情は寄せられなかったという。中谷氏も「騒音の影響は極めて限定的」と強調している。機体は頻繁に離着陸するわけではなく、飛び立てばすぐに洋上に出て任務を遂行するため、基地周辺にとっての負担は少ないとされる。
ただ、無人機とはいえ大型機であることに変わりはなく、一定の警戒感を持つ声もある。沖縄ではこれまでにも米軍機の騒音や事故に悩まされてきた歴史があるだけに、「無期限配備」と聞いて不安を感じる住民がいても不思議ではない。
トライトンの性能と日米の狙い
MQ-4Cトライトンは、アメリカ海軍が海洋監視用に導入している無人偵察機だ。全幅は約40メートル、全長は約15メートルと大型で、上空約18,000メートルを最長24時間にわたって飛行できる。搭載された高性能センサーで、海上をくまなく監視することができる。
日米の安全保障協力の中では、トライトンが監視任務を担い、必要に応じて哨戒機P-8ポセイドンが現場に急行し、詳細な対応をするという“連携プレー”も想定されている。
抑止力と情報収集体制の強化を狙う
中谷防衛相は今回の配備について、「日米同盟の情報収集能力を高め、結果として抑止力や対応力の向上につながる」と述べ、戦略的意義を強調した。特に、無人機による24時間体制の監視網は、従来の有人機では難しかった“継続的な可視化”を実現するとして注目されている。
日本の防衛体制が無人機とどう向き合い、地元の理解を得ながら進めていくか――それが今後の大きな課題となりそうだ。
- 米軍の無人偵察機MQ-4Cトライトンが嘉手納基地に無期限配備へ
- 配備は日本周辺の情報収集・警戒監視体制の強化が目的
- 昨年の一時配備では騒音苦情はほとんどなし
- トライトンは高高度・長時間の洋上監視が可能な大型無人機
- 無人機による継続監視で日米同盟の抑止力を高める狙い
- 地元住民への影響や説明の在り方が今後の焦点に