2025-04-06 コメント: 1件 ▼
台湾有事をリアルに想定 日米共同演習で中国軍艦に自衛隊がミサイル攻撃
関係者によると、今回の演習では、自衛隊の陸・海・空が一元的に指揮される体制を想定。これは、2024年3月に創設された「統合作戦司令部」の運用を見据えた訓練でもあった。
想定されたシナリオと対応
- 中国軍が台湾への本格的な侵攻に乗り出し、同時に長崎県の米軍佐世保基地などを攻撃。
- 日本政府は、この段階では「武力攻撃事態」とは認定しなかったが、日本の存立にかかわる「存立危機事態」と判断。これにより、集団的自衛権の行使が可能となった。
- 米軍からは、中国の強襲艦隊への攻撃を要請され、日本もこれを受け入れた。
- 航空自衛隊の戦闘機が空対艦ミサイルで中国の輸送艦を攻撃するという想定で対応。
演習中、自衛隊内部では「本当に攻撃すべきは空母ではないか」との声もあがった。しかし当時、中国側の空母はそれほど脅威とは見なされず、攻撃対象としての優先度は下げられた。
与那国島上陸への備えも
今回の演習では、沖縄県・与那国島に中国軍が上陸するケースも組み込まれていた。この事態に備え、陸上自衛隊は九州から増援部隊を送る手筈を整えた。
部隊を運ぶ輸送機の離発着を想定して、空自の基地滑走路も使用。しかし、空自の戦闘機との運用調整をめぐり、どちらを優先すべきかで意見が割れる場面もあったという。
オーストラリア軍も参加 演習は質的に大きく進化
「キーン・エッジ」は2年に一度実施される大規模な机上演習だが、今回はオーストラリア軍が初めて参加。これまでの演習とは一線を画す内容になった。
統合幕僚長の吉田圭秀氏は、「質的に非常に高い演習だった」と評価。日米両政府は、今回の成果をもとに台湾有事を想定した作戦計画の具体化を進めている。
台湾をめぐる地政学的リスクが高まる中で、日本がどう対処するか。その現実的な行動シナリオが、今回の演習によって少しずつ形になってきたと言えそうだ。