2025-02-21 コメント投稿する ▼
市街地での猟銃使用、クマ被害対策として特例的に解禁へ
クマ被害に対する猟銃使用、特例的に市街地でも可能に
政府は2月21日、クマやイノシシによる被害が増加し、市街地への出没が相次いでいることを受けて、現在は禁止されている市街地での猟銃使用を特例的に認める改正案を閣議決定した。この改正案は、クマが人々の生活圏に出没し、危険が迫った場合に市町村の判断で猟銃を使用できるようにするものだ。
これまでの取り組みとその限界
現行の鳥獣保護管理法では、住宅が密集する市街地で猟銃を使用することは禁止されており、これまでクマが市街地に現れた際には警察官が同行し、危険が差し迫っている場合に別の法律に基づいて発砲するという対応が取られてきた。しかし、市街地でのクマの出没が増えている中で、迅速に対応できる体制が求められていた。
改正案の要点
改正案の内容は以下の通りだ。
■猟銃使用の条件
市町村が確認すべき条件として、
- クマが住宅地や建物に侵入したり、人々に危害を及ぼす恐れがある場合
- 緊急に対応しなければならない状況
- 他に迅速に捕獲できる方法がないこと
- 住民の安全が確保されていること
■猟銃の使用
これらの条件が整った場合、市町村の判断でハンターに猟銃使用を委託できるようになる。猟銃使用後、万が一建物などに損害が出た場合、補償は市町村が行うことになっている。
■イノシシも対象
クマだけでなく、イノシシも市街地に出没することが多く、こちらも特例的に猟銃の使用対象となる。
市町村の役割と環境省の対応
政府は、改正案を今の通常国会で成立させ、秋のクマ被害が本格化する前に市街地で猟銃使用が可能となる体制を整えたい考えだ。環境省は市町村が確認すべき条件や手順を示したガイドラインを作成し、クマに対応できるハンターのリストを提供するなど、各自治体が迅速に対応できるよう支援する方針だ。
浅尾環境大臣のコメント
閣議後、浅尾環境大臣は記者会見で、「クマが出現した場合に被害を防ぐための体制を整えることができる法改正で、非常に意義がある」と述べた。また、市町村の職員にこの新しい制度をしっかりと認識してもらうことが重要だと強調し、困難な自治体には環境省が作成する「クマ人材データバンク」を活用して、人材のマッチングを支援する考えを示した。
この改正案が成立すれば、急増するクマやイノシシによる被害を効果的に防ぐ体制が整うことが期待されている。市街地での猟銃使用は、これまでの制度では対応しきれなかった部分に対して迅速かつ的確な対応が可能となり、住民の安全が守られることになるだろう。