2025-08-01 コメント投稿する ▼
泊原発3号機、再稼働へ前進 武藤経産相が北海道・4町村に理解要請開始
再稼働に向けた地元調整が本格化
武藤容治経済産業相は8月1日、閣議後の記者会見で、北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)について、再稼働に向けた地元の理解を得るため、同日から北海道および周辺4町村に要請を始めたと明らかにした。
泊原発3号機は、7月30日に原子力規制委員会が「新規制基準に適合している」との審査書を正式に決定したばかり。これにより、安全面での技術的なハードルはひとまずクリアしたとされるが、再稼働には地元の理解と同意が不可欠であり、今後の政治判断や地域との調整が焦点となる。
武藤経産相は「国としてもエネルギー安定供給の観点から重要と考えており、丁寧に説明を行いながら理解を求めていく」と述べた。
泊原発再稼働が意味するものとは
泊原発3号機は2012年5月以降、稼働を停止したままで、すでに10年以上が経過している。老朽化への懸念や、北海道胆振東部地震以降の地震活動に対する備えなども議論されてきたが、エネルギー安全保障と電力需給の逼迫が深刻化する中で、政府としては原発再稼働を現実的選択肢として推し進める姿勢を強めている。
しかし一方で、原発再稼働には地域住民の強い不安も根強い。特に泊原発は、過去に活断層の存在が疑われるなど、地震リスクが度々指摘されてきた経緯がある。
国民・市民・有権者の声には慎重な姿勢が目立つ。
「なぜ地元住民の意見を置き去りにして進めるのか」
「安全性が確認されたというが、誰が責任を取るのか明確にしてほしい」
「電気の安定供給は大事だけど、原発に頼るしかないのか?」
「泊原発って本当に再稼働の準備が整っているのか、疑問」
「原発よりも再生可能エネルギーの拡大に本腰を入れてほしい」
理解と信頼の“両輪”なくして再稼働は進まず
原発再稼働においては、法的な安全基準のクリアだけでなく、地元住民との信頼関係構築が何よりも重要である。政府や北海道電力が「安全」を繰り返すだけでは信頼は得られない。
再稼働後に万が一の事態が起これば、その被害は地元に集中することになる。そうした現実を直視し、責任の所在、事故時の補償体制、避難計画の具体性など、多面的な説明が求められる。武藤経産相が「丁寧な説明を」と述べる一方、実際の説明会が形式的なものにとどまらないかも注視される。
また、再稼働の是非はエネルギー政策全体とも密接に関わる。電力不足を理由に原発を再稼働させるのであれば、それと並行してなぜ再生可能エネルギーの拡大が進まないのか、電力市場の歪みをどう解消するのか、といった政策の整合性も問われる。
地元の声を政策に反映できるかが問われる
泊原発を抱える泊村、共和町、岩内町、倶知安町、神恵内村などでは、再稼働に対する賛否が分かれている。雇用や地域経済への貢献を評価する声がある一方で、避難計画や老朽化への懸念から再稼働に反対する声も強い。
これらの自治体は、形式的な「同意」だけでなく、政策決定過程においてどれだけ意見を反映させられるかが試される。政府が進める「地元理解の確保」が、単なるアリバイ作りではなく、真の合意形成を目指すものであることが問われている。
原発を再稼働させるという判断には、単に「電力が足りないから」という短期的な理由だけではなく、将来世代にどのような社会とエネルギー構造を残すのか、という視点が不可欠だ。