2025-05-20 コメント投稿する ▼
日ASEAN経済閣僚会合が自由貿易推進とAI・次世代技術連携で合意:経済協力深化へ
日ASEAN経済会合、自由貿易と先端技術で協力深化
日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済閣僚が参加するオンライン会議が5月20日に開催され、自由で開かれた貿易体制の重要性を改めて共有するとともに、AIや次世代技術分野での連携強化に向けて足並みをそろえた。日本からは武藤容治経済産業大臣が出席し、会合を通じて共通の課題に向き合う姿勢を示した。
ルールに基づく自由貿易体制を再確認
参加各国は、近年強まっている保護主義の流れに懸念を示し、国際的な通商ルールに基づく経済秩序を守る必要があると一致した。特に、日本とASEANが加盟する地域的な包括的経済連携(RCEP)や、日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)など既存の協定について、内容の見直しや実効性の向上に向けた議論も交わされた。
自由貿易を取り巻く環境は、米中摩擦や各国の内向き志向などにより不透明感を増している。こうした中で、ルールを尊重する多国間主義の重要性が改めて確認されたことは、国際社会に対して日本とASEANの連携の強さを示す形となった。
AIや次世代自動車での協力推進
今回の会議では、経済成長の新たなエンジンとして注目されるAIや次世代自動車分野での協力も大きなテーマとなった。特に、AIの産業活用に向けた「共創ロードマップ」の策定や、電気自動車や水素自動車などの開発支援に関して、日本側から具体的な提案がなされた。ASEAN諸国もこれを歓迎し、将来的な人材育成や研究開発支援の分野でも連携を深めていく姿勢を明らかにした。
デジタル分野におけるルール整備についても、日本がこれまで蓄積してきた技術的知見や法制度の枠組みをASEANと共有することで、より公平で透明性のある市場形成をめざす。
地域の安定にも配慮、地震被災地への支援も
会議の冒頭では、3月末にミャンマーとタイで発生した地震による被害について、各国の閣僚から哀悼と支援の意が表明された。日本は、災害に強いインフラ整備や緊急支援物資の供給を含む多面的な支援を継続する方針を伝え、ASEAN側からも地域の安定と復興に向けた協力を強化するとの意欲が示された。
自由貿易だけでなく、災害への対応力やレジリエンスの強化もまた、経済成長を支える重要な要素であるという認識が共有されたかたちだ。
* 保護主義に抗し、自由貿易体制の堅持を改めて確認
* RCEPやAJCEPの実効性向上に向けた見直しを議論
* AI、次世代自動車など先端分野での協力深化に合意
* ミャンマー・タイの地震被災地支援を含めた地域安定の連携も進展
今回のオンライン会合は、単なる通商政策の調整にとどまらず、未来を見据えた経済・技術・人道支援の多層的な連携を模索する機会となった。今後、これらの方針をいかに具体的なプロジェクトとして実行に移せるかが、日ASEANの関係深化の鍵となる。