2025-04-07 コメント投稿する ▼
トランプ関税が中小企業を直撃の恐れ 武藤経産相、供給網への影響に懸念
金花氏はこれに応じ、「影響に配慮しつつ、価格転嫁や取引の適正化に取り組んでいく」と語った。
関税強化、広がる波紋
トランプ前大統領が打ち出した「相互関税」政策は、米国と貿易関係のある国々に大きな波紋を広げている。とくに日本製の乗用車については、関税が現行の2.5%から最大25%に引き上げられる可能性があるとされ、日本の自動車業界は緊張感を高めている。
武藤氏が今回言及したのは、自動車に限らず、広く「産業機械」全体の供給網に関する懸念だ。機械そのものだけでなく、それを支える部品や素材の多くが中小企業の手によって製造されており、関税の影響が川下まで及ぶことが想定される。
中小企業への「目配り」
「中小企業が苦しむようなことがあってはならない」と武藤氏は強調した。経済全体の好循環には、賃上げが欠かせないが、その実現には適正な価格転嫁が必要不可欠だという。「経営者が賃上げを決断するには、取引価格を適切に上げられる環境づくりがカギだ」と述べ、業界全体での協力を呼びかけた。
また、供給網の一部が海外に依存している現状にも触れ、「リスク分散の観点からも、国内の中小事業者の役割はますます大きくなる」と語った。
輸出型企業の苦境
経産省によると、日本からの輸出を手がける中小企業は約1万3,000社にのぼる。そのうち、米国向けに製品を出している企業も少なくない。関税引き上げにより、価格競争力が低下すれば、取引の縮小や打ち切りといった事態も現実味を帯びてくる。
また、円安の進行によって原材料の輸入価格が上昇しており、企業のコスト負担は増す一方だ。こうした中での賃上げや設備投資は、企業にとって重い決断となる。
業界全体の支え合いが必要
金花会長は、「中小企業が安心して事業を続けられるよう、親事業者としての責任を果たしたい」と語り、現場に即した価格転嫁の支援や取引条件の改善に努める考えを示した。
経産省としても、企業の資金繰り支援やサプライチェーン強化に向けた補助制度の活用を呼びかけている。政府、業界団体、大企業の三者が連携し、中小企業の持続的な経営を後押しする姿勢が問われる局面だ。
- トランプ政権の関税強化が日本の産業機械分野に波及する恐れがある。
- 武藤経産相は中小企業への配慮を要請。
- サプライチェーン維持のため価格転嫁や取引適正化が不可欠。
- 円安や関税で中小企業のコスト増が深刻化。
- 経済の好循環には中小企業の健全な経営環境がカギ。
- 政府・業界一体となった支援が求められる。