居宅介護の逓減制緩和、届け出率わずか7.8% ケアマネ負担軽減どころか現場に広がる停滞感

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居宅介護の逓減制緩和、届け出率わずか7.8% ケアマネ負担軽減どころか現場に広がる停滞感

進まぬ逓減制緩和、現場に残る制度の“壁”


居宅介護支援事業所における「基本報酬の逓減制」――その緩和措置が、期待されたほど浸透していないことが厚生労働省の調査で明らかになった。調査によると、昨年度時点で逓減制の適用緩和を「届け出済み」とした事業所はわずか7.8%。導入から一定の時間が経過しているにもかかわらず、活用が進まない実態が浮き彫りになった。

この制度は、一定以上の件数を担当するケアマネジャーの基本報酬を逓減(引き下げ)する仕組みで、緩和を届け出ることで、上限を超えた場合でも報酬を維持できる。つまり、制度としては「ケアマネが多くの利用者を担当できるようにし、事業所の経営改善や人材確保にもつなげる」という狙いがある。しかし現場からは、その理念と実際との間に大きな乖離があるという声が上がっている。

「制度があっても使えないなら意味がない」
「ケアマネを増やせばって言うけど、その採用が一番難しい」
「緩和したって現場は回らないよ、限界まで抱えてるのに」
「国の制度は立派。でも導入コストは全部現場負担」
「届け出?紙ばっかり増えて人手が減るだけ」


届け出が進まない現場の理由


調査では、届け出を行っていない理由として、「事務職員の採用が経営上難しい」「ケアプランデータ連携システムが導入されていない」という回答がそれぞれ4割を超えた。これに加え、「データ連携システムの導入コストが高い」「ケアマネジメントの質や職場環境を守るため、担当件数をこれ以上増やすことは難しい」といった理由も4割近くを占めた。

つまり、制度の根幹を支えるはずのデジタルインフラや人材が、そもそも用意されていない現場が多数にのぼるということだ。届け出れば処遇改善につながる――それが実現できないのは、制度設計と実装の間に現実的な“深い谷”が存在するためである。

実際、逓減制緩和を届け出た事業所は、ケアマネジャーの実人数が多い傾向があるとされ、事業所の規模によって制度の活用可能性が左右される構図が明確になっている。小規模な事業所や人員不足に悩む現場では、制度の活用は「絵に描いた餅」になっているのが実情だ。

導入した事業所の本音「地域の要望」「経営改善」


一方で、逓減制緩和を届け出た事業所がその理由として挙げたのは、「地域の利用者の受け入れ要望に応えるため」「事業所の経営改善のため」などが多く、現場ニーズと経営判断がうまくマッチした例と言える。適用緩和により、ケアマネ1人あたりの担当件数は平均41.4件に達しており、ある程度の業務負荷増加を覚悟して導入していることがわかる。

だがこれは、体制が整っている一部の事業所に限られる。多くの現場では、件数を増やす前に「今の仕事を維持するので精一杯」という悲鳴があがっている。

「制度頼み」では解決できない介護現場の限界


今回の調査は、厚労省が昨年11月から今年1月にかけて全国923の居宅介護支援事業所を対象に行ったものだ。数字は冷静に並ぶが、現場から聞こえてくるのは制度疲弊と人的リソースの限界、そして補助の届かないデジタル化の不均衡だ。

「処遇改善」「地域対応」「経営の持続性」――そのすべてを一つの緩和措置で叶えようとするのは無理がある。特に、制度導入の前提となる環境整備に、国からの明確な支援策が示されていないのは致命的だ。

今後の課題は明確である。

まず、データ連携システムなどのITインフラ導入に対する補助を拡充すること。
次に、届け出や報酬算定に伴う事務負担の軽減措置を講じること。
そして何より、ケアマネという職種の重要性と負荷の高さを社会全体で再認識し、持続可能な支援制度を本気で再設計していくことだ。

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2025-07-16 15:58:39(キッシー)

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