2025-06-06 コメント投稿する ▼
資格確認書の一律交付は不要と厚労相 自治体判断に委ねるも制度趣旨を強調
資格確認書の一律交付は不要?厚労相が制度運用の柔軟性に言及
2025年12月に予定されている「現行健康保険証の廃止」を前に、各地の自治体が対応を模索するなか、東京・世田谷区と渋谷区が独自に全加入者へ「資格確認書」を配布すると表明した。これを受け、福岡資麿厚生労働大臣は6月6日の衆議院厚生労働委員会で「一律交付は必要ない」との見解を示した。
自治体の対応に温度差、政府は慎重姿勢
世田谷区と渋谷区は、マイナンバーカードと保険証を一体化した「マイナ保険証」を所持している人も含めて、国民健康保険の加入者全員に資格確認書を交付する方針を打ち出している。背景には、「マイナ保険証が使えない事例や機器トラブルへの懸念」「カード未取得者や高齢者への配慮」などがあるとされる。
しかし政府側は、制度本来の運用に基づく判断を求めている。福岡厚労相は「『資格確認書』は、電子的な資格確認が不可能な状況に限り交付されるもの」と述べ、対象者を限定する必要性を強調した。
「自治事務であるため、最終的な判断は自治体に委ねられる」としながらも、「国としては国民健康保険の全加入者に一律で資格確認書を配る必要があるとは考えていない」と述べた。
マイナ保険証への移行と市民の不安
マイナンバーカードの活用促進は、行政のデジタル化を進める政府の看板政策のひとつ。12月には現行の保険証を廃止し、マイナンバーカードを保険証として利用する「マイナ保険証」制度への全面移行が予定されている。
しかし、システムトラブルやカード未取得層への対応の遅れ、個人情報保護への不安から、一部自治体や市民の間では慎重論も根強い。そのため「資格確認書」の存在は、移行期における“安全弁”として重要な意味を持つ。
厚労相の発言の背景と今後の焦点
福岡大臣の発言は、資格確認書の本来の役割を明確にし、過剰な交付による混乱や誤解を防ぐ意図があるとみられる。マイナ保険証の利便性と、公平で効率的な制度運用の両立を目指す姿勢がうかがえる。
政府は、資格確認書の配布対象について厳密な線引きをすることで、マイナ保険証への円滑な移行を促したい考えだが、実際の住民対応は各自治体に委ねられている。そのため、地域ごとに対応方針が分かれ、国民側に混乱を招く懸念も拭えない。
市民の声とSNSの反応
SNSでは今回の福岡厚労相の発言を受けて、賛否の意見が飛び交っている。
「一律配布した方が高齢者も安心できるのに、なんでダメなの?」
「制度の趣旨に従うって言ってるけど、柔軟に運用しないと現場は困るよ」
「資格確認書があれば、いざという時も安心できる。自治体の判断を支持する」
「制度そのものが複雑で、結局市民が混乱する。もっと説明してほしい」
「マイナ保険証が機能しない可能性もあるなら、予備の仕組みは必要」
市民の間では、制度の堅守よりも「安心感」「柔軟性」を重視する声が多く、政府と自治体の足並みがそろわない現状に苛立ちを見せる投稿も目立った。
制度運用の行方と政府の対応
政府としては、国民の不安を解消しつつ、行政のデジタル化を進めるバランスを模索している。福岡厚労相の発言からは、「形式にとらわれず、実態に即した運用を求める」という姿勢が垣間見える一方で、「制度の根幹は崩さない」という慎重なアプローチも強くにじむ。
今後は、全国の自治体がマイナ保険証と資格確認書の運用方針をどう定めていくか、また市民への説明責任をどう果たすかが焦点となる。政府・自治体・市民の三者が信頼関係を築きながら、新たな保険証制度を定着させていけるかが問われている。