2025-05-19 コメント投稿する ▼
介護職ハラスメント対策に家族の会が懸念表明 認知症利用者の特性を考慮すべきと主張
介護職ハラスメント対策、厚労省が議論
厚生労働省が19日に開いた社会保障審議会・介護保険部会で、介護職へのハラスメント(カスハラ)対策が話し合われた。人手不足が深刻化する介護業界で、人材定着を図るための取り組みとして、ハラスメント対策が柱の一つに挙げられた。
家族の会から「現場の現実を考慮すべき」と懸念
審議会には「認知症の人と家族の会」の代表も出席し、ハラスメント対策について意見を述べた。代表は、介護職の職場環境改善の必要性を認めつつも、「利用者には認知症や精神疾患を抱える人が多く、彼らは一般的な消費者とは異なる」と指摘。こうした利用者は説明を理解しづらかったり、意思判断が難しい場合があり、対応を誤ればトラブルにつながる可能性があるという。
さらに、「介護職員や事業者は、利用者の特性や状況をしっかり理解し、ただのハラスメントと決めつけずに対応してほしい」と求めた。また、「家族としては、何度説明しても本人が理解できない場合がある。認知症などの症状による言動は、家族の努力でどうにもならないことも多い」と現場の実情を訴えた。
カスハラ対策、利用者の理解と支援が不可欠
この審議会では、介護職へのハラスメントを防ぐためのガイドライン作成や、職員への研修充実が検討されている。しかし、家族の会からの発言は、利用者自身がカスハラとみなされる行為を自覚していない場合があること、家族の努力だけでは対応しきれない場合があることを示唆している。
現場に必要な理解と配慮
介護職へのハラスメント対策を進める上で、単に「ハラスメントを防止しよう」とするだけでなく、利用者の症状や特性に応じた柔軟な対応が求められる。厚労省はこうした声を踏まえ、現場でのトラブルを防ぎつつ、介護職員が安心して働ける環境づくりに向けた指針を示すことが求められる。