2025-05-09 コメント投稿する ▼
外国人介護人材の訪問介護、ICT活用で安全確保と効率化 – 厚労省が好事例を紹介
外国人介護人材の訪問介護が正式解禁、ICT活用で円滑化を目指す
2025年4月から、外国人介護人材が訪問介護サービスに従事することが正式に認められた。これに伴い、厚生労働省は5月9日、事業所が遵守すべき要件として「ICTの活用による環境整備」を示し、具体的な好事例も公表した。
この方針は、外国人介護人材が安心して働ける環境を整え、受け入れ事業所の負担を軽減することを目的としている。ICTの導入は、効率的な業務運営だけでなく、トラブル防止や安全確保の手段としても期待されている。
兵庫県明石市の事例:インカムと見守りカメラで支援
厚労省が紹介した事例の一つは、兵庫県明石市にある介護事業所「スピンケア24つむぎ二見町」の取り組みだ。この事業所では、外国人介護職員がスマートフォンアプリを通じてインカムを使用し、訪問中に上司や看護師とリアルタイムで連絡を取れる体制を整えている。これは緊急時の迅速な対応を可能にし、職員の安心感を高める効果がある。
また、利用者の同意を得たうえで、訪問時にスマートフォンで動画や写真を撮影し、注意点や状況を他のスタッフと共有できる仕組みも導入している。これにより、サービスの質向上が図られている。
さらに、夜間の訪問時にはリスクの高い利用者宅に見守りカメラを設置し、安全確認を行う。このカメラはプライバシーに配慮し、必要時のみ映像を確認する仕組みで、ハラスメントの防止やトラブル発生時の証拠保全にも役立つ。
ICTの活用がもたらす効果と課題
厚労省の調査によれば、ICTの導入は外国人介護職員の業務負担を軽減し、職場への定着を促進する効果が確認されている。特にインカムや見守りカメラは、職員の安心感を高め、利用者への迅速な対応を可能にする。
一方で、ICT活用には課題もある。外国人職員の中にはパソコンの操作に慣れていない人も多く、スマートフォンやタブレットを使ったシステムが好まれることがわかった。また、デジタル機器の導入には初期費用や教育コストがかかるため、事業所側の負担も無視できない。
ICT活用で外国人介護人材の定着を目指す
厚労省は、外国人介護人材の円滑な受け入れと定着を進めるため、各自治体や事業所に対してICTの活用事例を共有し、取り組みの促進を呼びかけている。ICTは単なる業務効率化の手段ではなく、外国人職員が安心して働ける環境を提供するための重要なツールとなっている。
今後は、外国人職員にとって使いやすいデジタルツールの開発や、現場での導入支援が求められる。また、効果的な活用事例の普及を通じて、全国の事業所でのICT活用が一層進むことが期待される。