2025-04-03 コメント投稿する ▼
マイナ保険証がスマホに 9月から受診も可能に
まずは7月に一部医療機関で試験運用
厚労省は、今年7月にも全国10か所ほどの医療機関で、スマホでの「マイナ保険証」利用を試験的に始める予定だ。そこで問題がなければ、9月以降、導入を希望する医療機関から順次本格的な運用に踏み切る考えだ。
カードなしでも受診可能に
この仕組みが広がれば、マイナンバーカードを忘れてしまっても、スマートフォンだけで本人確認が可能になり、受診のハードルが下がる。特に、カードを持ち歩くことに不安を感じる高齢者や、財布やカードケースを持たない若い世代にとっては利便性が大きく向上すると期待されている。
医療機関側にも準備が必要
ただし、スマホでの利用には医療機関側にも対応が求められる。現在、マイナ保険証の確認には顔認証付きカードリーダーが使われているが、スマホ対応には別の汎用カードリーダーを導入する必要があり、設備投資や職員の対応力がカギになる。
高齢者には「資格確認書」を発行
一方で、カードやスマホの操作に不安がある高齢者への配慮も進められている。後期高齢者医療制度の加入者には、マイナ保険証を持っていなくても2026年7月まで使える「資格確認書」が交付される予定だ。移行期の混乱を避ける狙いがある。
利用率はいまだ低調
マイナ保険証の利用率は、2025年2月時点でわずか26.62%にとどまっており、政府の思惑通りに普及が進んでいるとは言いがたい。厚労省は引き続き、利用方法の周知や広報に力を入れ、国民の理解と安心感を得ることが課題となっている。
医療のデジタル化へ一歩前進
今回のスマホ対応は、政府が進める「医療DX(デジタル・トランスフォーメーション)」の一環でもある。医療機関の事務作業の効率化や、医療情報の共有促進に向けての第一歩だ。将来的には、電子カルテの標準化や医療情報の全国的な連携にもつながっていく見通しだ。
- 2025年7月に10か所程度の医療機関でスマホ利用を先行開始
- 問題がなければ9月から全国の希望医療機関に導入へ
- 後期高齢者には資格確認書を交付し混乱回避を図る
- 現在の利用率は26%程度にとどまり、普及が課題
- 医療機関の対応・設備投資が導入の鍵を握る
スマートフォン1台で受診が完了する時代が、いよいよ現実のものになろうとしている。とはいえ、すべての人にとって使いやすく、安心できる仕組みにするためには、まだまだ丁寧な制度設計と現場への支援が必要だ。